角砂糖に溶ける夢４【北×樹】

セーブ ページ11

北人side.




樹が復帰の挨拶しに来た今日
仕事を終えてAを迎えに行ったら
樹に会ってしまったのか
どこか上の空だった

だから、飲みに誘った
ちょっと酔ってくれたら
本音話してくれるかなって思ったから

隼さんが働く居酒屋
樹の名前は一度も出てない
なんか…出しづらい






隼｢あーい、お待たせしました！｣


『ありがとうございます』


隼｢あれ〜、ちょっと酔ってきたっしょ｣


『え？』


隼｢ほっぺ、赤いぞ〜｣






隼さんは陽気に笑って
謎におれに目配せをして席を離れた

何考えてるんすか、もう…笑






『酔ってるのかな』


北｢ふわふわしてたら酔ってるよ｣


『じゃあ、酔った〜笑』






ふにゃ、と目の前で笑われたら
かわいくて抱きしめたくなる

樹には勝負しようなんてかっこつけて言ったけど
ほんとは嫌だよ

おれに向いてくれてる気持ちが
樹には簡単に持ってかれそうで






『…あ、そうだほっくん』


北｢ん？｣


『樹くん、戻ってくるんだってね』


北｢ぶふっ…！ え！？｣






飲んでいたレモンサワーを危うく吹き出しそうになる
まさかAから樹の名前が出るとは思わなかった

おしぼりで口元を拭きながら冷静になる






北｢おれ…が、戻って来いって言ったんだよね｣


『…そうだったの？』


北｢うん…、どうしても樹のこと放っておけなくて｣


『ふふ、ほっくんらしいね』


北｢…嫌だった？｣


『ううん？びっくりしたけど、なんか樹くんの雰囲気変わってたし…嫌じゃないよ』


北｢樹になんか言われた？｣


『うーん…、変わりたいんですって言われたな』


北｢それ以外は？｣


『…そばで見ててくれますか？って』


北｢なんて、答えたの？｣


『…答えられなかったよ。ほっくんが頭に浮かんで』


北｢…え？｣






思いがけない言葉に言葉が出ない

どう、いう…






隼｢これサービス！｣


北｢うぉわっ…！？｣


隼｢あ、ごめん！真剣な話してた？｣


『わぁっ、おいしそう〜！』


隼｢いっぱい食べてってね！酒の一杯や二杯勝手に作ってもバレないから飲みたいの言っていいよ｣


『え〜、じゃあ、甘えてもいいですか？』


隼｢どうぞ、甘えちゃってくださいな｣


北｢すいません、隼さん。A、酔ってるから…｣


隼｢いーじゃん！あんまり店で酔ってくれないし！｣






…確かに
いつもはセーブするのに、今日は飲むな




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