アソビゴコロ 〜Wedding？〜３【川村壱馬】

幸せな時間 ページ28

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ユ｢ねぇ…、ほんとに大丈夫？｣


『大丈夫だよ…』






壱馬先輩と別れてから
1週間が過ぎた

必要なものを取りに
一度だけ壱馬先輩の家に帰った
絶対バイトでいない時間を見計らって

家のドア開けた瞬間
離れてから全然時間が過ぎてないのに
壱馬先輩の匂いと懐かしさに
心が何かに強く握られたみたいに痛くなって
泣きながら荷物を詰めた

全部は持って行けない
荷物残しておいたら…壱馬先輩何か気づいてくれるかな

この期に及んで
まだ壱馬先輩に助けてもらおうとしてるわたし
変われてない
強くなりたいのに
わたしが壱馬先輩を守りたいのに

壱馬先輩は…大丈夫かな
わたしは壱馬先輩がいないと何もできなくて
今後が心配になるくらい依存してしまってたけど
きっと壱馬先輩はそんなことない、はず

元々、来る者拒まず去るもの追わず だったんだもん
わたしが…いなくても…

自分で考えて涙が滲む

あの冷たい家に帰ってから
食べる気力がない
話す気力もない

話しかけられても うん とか ううん とかだけ
極力家にいたくなくて
朝は早く出て
帰りは夜遅くまで寄り道をした

まだ暑さが残ってる
水しか飲まないわたしを見て
ユウちゃんがすごい心配してる

食べなよ、って言われるけど
1回だけ食べたら吐いた

だめなの、何も…受け入れない

何も聞いてこないのが
ユウちゃんの優しさ

壱馬先輩の連絡先を消せないのは
まだ期待してるわたしの弱さ

学校が終わって
図書館に向かう

涼しいし
いつまでもいれるし
今のわたしにはもってこいの場所

顔色が悪いのを隠すためにマスクをして
俯きながら歩く
いつ、どこで会ってしまうかわからない
どうせなら壱馬先輩と会うことも叶わないような
そんな場所に行ってしまいたい

大好きだから
壱馬先輩に何かあるなんて嫌だから

わたしの家族のことで巻き込んじゃいけない
過去から立ち直って
お母さんとまた家族になろうとしてる
そんな壱馬先輩の、邪魔できない

また、涙が滲む

何度泣けば気が済むのかな
あの人がわたしの親な限り
幸せな時間は戻ってこないのに

幸せすぎたんだ
ずっと憧れてた壱馬先輩に
きゅまちゃん、ってかわいいあだ名つけてもらえて
そばにいれる玩具にしてもらえて
優しくしてもらえて
助けてもらえて
好きになってもらえて
一緒にいてもらえて
家に住まわせてもらえて

わたしには…贅沢すぎた
夢だったんだ




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