アソビゴコロ 〜Wedding？〜３【川村壱馬】

お母さん ページ23

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…久しぶりに、帰ってきたな

前まではここが帰る家だった
壱馬先輩と出会う前までは

重く感じるはずのないドアがやけに軋んだように聞こえた
鍵を開けて中に入れば
お母さんの靴と知らない男物の靴

…お父さんじゃ、ない

明かりが漏れ出るリビング
重い足を引きずるように顔を出せば
ソファにお母さんと誰かが仲睦まじく座ってた






『お…かあ、さん？』


母｢A！やっと帰ってきた、何度も電話したのに｣


『…』






海の家でバイトさせてもらってる時
何度も何度も電話が来てた

話すなら、壱馬先輩がいない場所がよかった
なのに砂浜で電話してるとこ聞かれちゃって
お母さんって言いたくなくて濁した

あんまりお母さんのこと、知られたくないから






男｢この子が娘？かわいいね｣


母｢そう、手のかかる娘よ。A、挨拶して｣


『だ、れ…？』


男｢ははっ、いきなり驚くよな。本庄剛です｣


母｢新しいお父さんになってくれる人よ｣


『え…？』






お父さんは、一応単身赴任ってことになってるはず
新しいお父さんなんて、すぐになれるわけ…






『お母さん、まだ…お父さんと、』


母｢あれ、言ってなかった？だいぶ前に離婚してるから独り身だったよ｣


『りこん…？』






知らなかったよ、そんなの
どうして言ってくれなかったの






剛｢いきなりですぐは受け入れられないよ｣


母｢そうね…。A、少し部屋で話そ？｣






何も分からないまま、お母さんに手を引かれた
リビングを出る時に見えた本庄さんの笑顔が
やけに気持ち悪く思えた






『ねぇ、どういうこと？離婚って…、だって今までと変わらないで生活できてるのに、！』


母｢慰謝料よ。あの人も不倫してたしね｣


『……そんな、』


母｢でももう、あの人の金で生きることなんてないのよ。剛さんがお父さんになってくれるから｣


『あの人は、』


母｢将来安泰の素敵な人！ずっと付き合ってたんだけど…｣






相変わらず、わたしのことなんて考えてないんだね
今わたしが何を言ったって
どうせ結婚する気なんでしょ？

昔からそうだよね
愛のない放任育児
何を言ってもダメって言われたことないけど
悪いことした時も怒ってもくれない

わたしのことなんて、見えてない






『…勝手にして』


母｢ありがとう！あ、お母さんからお願いがあるの｣


『なに？』


母｢今付き合ってる人と、別れなさい｣




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