角砂糖に溶ける夢【北×樹】 (ページ48)

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これはこれでよろしくない…！

トレーナーを離そうとしたら
樹くんの腕がわたしの背中に回って
床に静かに倒された

その拍子でずれたトレーナー
見えた樹くんの表情は
色っぽくて、艶っぽくて、熱っぽい

逃げられない
トレーナーを抱きしめて
これから起こる何かを待つことしかできない

樹｢…もう、限界です｣

『…？』

樹｢Aさん、俺のこと煽りすぎ｣

『え…？』

樹｢そうやって何人勘違いさせてきたの？｣

何を言われてるのかわからない

わかるのは
今のこの状況に
これ以上ないくらいドキドキしてること

樹｢お願い、Aさん…。俺のものになって｣

『そ、んなこと…言われても…』

樹｢早く気づいてくださいよ。…Aさんにとって、俺が特別なこと｣

特別…？

確かに樹くんは
今まで感じたことのない感情にばかりなる

度重なる不整脈
照れくさくて強がっちゃったり
頭の中が樹くんでいっぱいになったり

まるで、恋してるみたいな…

あ、れ…？
わたし…樹くんに、恋してる…？

樹｢その顔…気づいた？｣

『あ…、や…っ』

樹｢顔隠さないで。かわいいAさんのことちゃんと見たい｣

『いや…っ、だ、』

わたし樹くんにいつの間にか恋してた
樹くんが好き

そう気づいてしまったら
このドキドキの正体に気づいてしまったら
樹くんに触れられる場所全てが

熱い
溶けそうなくらい、熱い

注がれる視線も
流れ込んでくる甘くて低い声も

樹くんの全部が
わたしを女の子にさせる

樹｢…悪い子にはお仕置きですよ｣

『…な、に？』

樹｢俺のこと見て｣

恥ずかしさから泣きだしそうになるのを何とか堪えて
樹くんの顔を見る

ゆっくりトレーナーが取られて
巻いた髪を掬われた

樹｢…俺のために巻いてきてくれたの？｣

『…っ、そういうわけじゃ、』

樹｢このワンピースも…わざと？｣

『ちが…っ』

シースルーの部分を
柔らかくつー、となぞられる

違う、違うの
きっと少しでも樹くんにかわいいって思われたかった

樹｢…健気なんすね｣

『～っ…、やだ、！』

樹｢…もっと俺でいっぱいになってください｣

堪えきれなくなった涙が目尻から流れた瞬間に
熱い樹くんの唇がわたしの唇に重なった

あ…、だめ…

わたし、樹くんが好き

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