角砂糖に溶ける夢【北×樹】 (ページ41)

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猫ページ41

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樹｢ほんとに襲われると思いました？｣

『お、もっ…た…』

樹｢俺、そんなに手早くないんで。襲うために連れてきてもないし、遊び人でもないです｣

『じゃあ…なんで樹くんの部屋…』

樹｢足、手当てしようかと思って｣

『て…あて…？』

す…っとわたしの上からいなくなり
放心状態で動けないままのわたしの横にシップを置いた

わたし…もしかしてものすごく恥ずかしい勘違いをしてたんじゃ…

樹くんがシップの箱を開けてる時に起き上がり
勢いよく頭を下げた

『変なこと言ってごめんなさい…っ』

樹｢いいですよ。そういう風に見られるの慣れてるし｣

『助けてくれたのに…とんでもない失礼を…』

樹｢んー…まぁ、ちょっとショックだったけど｣

『ご、ごめ…』

樹｢Aさんがまだ未経験って知れたからいいです｣

『…っ、それは忘れて！』

樹｢一生忘れないです｣

クスクス、と笑って
わたしにソファに座るように促した

大人しく言うことを聞いたら
患部に丁寧にシップを貼ってくれた

…何だか、樹くんには振り回されてばっかりだなぁ

樹｢ただの気休めなんで、ちゃんと病院行ってくださいね｣

『うん…、ありがとう』

樹｢…Aさん、猫みたいっすね｣

『…え？』

樹｢会社ではしっかり者で高嶺の花なのに、外では隙だらけの甘え上手さん｣

『…全然意味わかんない』

樹｢分かんなくていいですよ。吉野北人の愚痴は聞きたくないから部屋戻ってください｣

『自分で部屋にいれたくせに！』

樹｢はいはい、ちゃんと病院行くんですよ｣

『わかってます！』

カバンを持って
足をひょこひょこさせながら玄関に向かった

樹｢Aさんの家の玄関まで抱っこしてあげましょうか｣

『余計なお世話です』

樹｢優しさなのになぁ｣

ほんと調子いいんだから
樹くんのペースにはもう飲まれてやんない！！

『お邪魔しました、ありがとうございました』

樹｢あ、Aさん。最後にひとつだけ｣

『なに、？』

樹｢俺、猫大好きなんです｣

『…だから？』

樹｢…そういうこと。また明日。おやすみ、Aさん｣

『おやすみ…なさい』

パタン、と樹くんの家のドアを閉めた
最後の…なに？
そういうことって、どういうこと？

" …Aさん、猫みたいっすね "
" 俺、猫大好きなんです "

ふと思い出して繋がる言葉

『…っ、！』

絶対に振り回されない！

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