角砂糖に溶ける夢【北×樹】 (ページ39)

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部屋ページ39

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樹くんに惨めな姿見せたくなくて
足を引きずりながら帰ろうとした

そしたら待ってって腕掴まれて
樹くんが前に回ってきた

樹｢痛いんでしょ、甘えてくださいよ｣

『…樹くんに？やだ、』

樹｢痛いくせに。強がってたらかわいくないですよ｣

『どうせかわいくないです、』

樹｢やさぐれすぎ…。めんどくさいな｣

…樹くんにめんどくさいって言われた
すごい、やだ
でもわたし、ほっくんに同じこと言ってる
きっとほっくんも嫌だった

だけどすぐに謝れるほど大人じゃない
わたし悪くないもん、って
自分を守っちゃう

前に立つ樹くんの横を通って帰ろうとしたら
いきなりひょいって持ち上げられた

…え！？
樹くん、片手にコンビニ袋持ってたよね？
ってことは今、片手でわたしのこと持ってるの？

しかも、待っ…
樹くんの腕がお尻の下にある！
そこで支えてるから仕方ないけど…！

『やだ、降ろして！』

樹｢優しくしてるんですから感謝してください｣

『頼んでないです！わたしなんか置いて、早くご飯食べてきなよ、！』

樹｢…ばかだなぁ、｣

『はっ…！？』

樹｢Aさんだから、置いてけないんじゃないですか｣

『…な、んで？』

樹｢覚えてないんですか。俺、Aさんが欲しいんです。好かれるためだったら何だってします｣

『…っ、好かれたいならもっと言葉選んでよ…！』

樹｢…それはもっと優しくしてってことですか？｣

『ちが…っ』

マンションに着いてエレベーターを待つ時間
持ち上げられてるから
いつも上にある樹くんの顔が下にある

樹くんの言葉に否定しようとして顔を見たら
思ってたより近くにあって
逃げたくても逃げられなくて

ましてやエレベーターに乗り込んでしまったら
短い間だけど誰も来ないわけで

きっと今、わたし顔赤い
やだな、すぐに顔赤くなるの
自分じゃどうしようもできないけど

樹｢優しくしたら好きになってくれる？｣

『…っ、ならない！』

樹｢どうして？俺のこと嫌いですか？｣

『嫌い…っ、じゃ、ない…けど、』

もうやだよ、早く5階について

樹｢Aさん｣

『な、に…』

樹｢…今から俺の部屋、来ますか？｣

『なっ、に言って…！』

樹｢…来て｣

5階についた
逃げたい、今すぐ自分の家に逃げたいのに
そんなわたしの気持ちを知らずに
わたしの部屋を通り過ぎて樹くんの部屋のドアが開いた

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