角砂糖に溶ける夢【北×樹】

どういうこと？ ページ15

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男の人はその音に気を取られ
わたしから目を離した

その隙に腕が届かない距離まで離れることが出来た

安堵しながら音がした方を見ると
なんと樹くんが机に突っ伏していた
樹くんの周りは頼んだ料理が散らばっている

玲於さんがすかさず近寄って
樹くんに話しかけていた






玲｢樹？大丈夫か？｣


樹｢う…、ん、みず…｣


玲｢水？わかった、今もらってくるから｣






…酔っちゃったのかな？
歓迎会だから特に新人は飲まされるってほっくんから聞いてた

樹くん、無理したんじゃ…

玲於さんが店員さんに水をもらってこようと出入口の側まで来た
出入口にいちばん近いのはわたし
そして部外者もわたし
だったら…






『玲於さん、！』


玲｢ん？｣


『あの、わたしお水もらってくるんで樹くんのこと見ててあげてください』


玲｢ほんと？ありがと、助かるわ｣






樹くん、玲於さんが側にいてくれた方が安心するだろうし
急いで店員さんにお水をもらって部屋に戻った

…あれ？樹くんがいない






部｢あ、藤原は隣の部屋に玲於といるからそっちに持ってってくれるか？｣


『わかりました、！』






えーっと、隣ってこっちかな…

襖を開けると
わたしたちがいる場所よりこじんまりとした
4人用ぐらいの部屋だった

樹くんは横になってて
玲於さんが様子を見てた






玲｢Aちゃん、ありがと。ほら、樹。水持ってきてもらったから｣


樹｢あ…りがと、ございます｣


玲｢無理すんなよな〜｣


樹｢すいません…｣






樹くんはゆっくりと起き上がって
水をコクコクと飲んだ

だいぶ辛そう…






玲｢ごめん、Aちゃん。俺、戻んなきゃなんだけど樹のこと見ててくれる？｣


『あ、わたしで良ければ』


玲｢やばそうならタクシーで帰っちゃって。かかったお金は後から返す｣


『はい』


玲｢ごめんね、よろしく｣






玲於さんはバツの悪い表情を浮かべながら
ほんとごめん、と部屋を出た

見てて、と言われても
お酒に酔った人の介抱の仕方なんてわからない

ほっくんが酔って帰ってきた時は
大体すぐ寝るし…






樹｢…玲於さん行った？｣


『うん、行った。…え？』


樹｢はぁ〜、演技って疲れるわ｣






何事も無かったかのように首を回しながら
樹くんが起き上がった

な、な、なにごと…？






『樹くん、酔ってたんじゃ…』


樹｢全然｣






ど、どういうこと？




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