角砂糖に溶ける夢【北×樹】 (ページ2)

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腐れ縁ページ2

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『ぎりっ！せー！ふっ！』

北｢全然あうとでーす｣

せっかく綺麗に髪をまとめた頭を軽くポン、と叩くのは
腐れ縁で保育園からずーっと一緒の吉野北人

短大を出て、今年から社会人2年目
就職浪人になりかけだったわたしを
ほっくんは自分と同じ会社の受付嬢を紹介してくれた

ほっくんは既にその会社で信頼を得てて
吉野くんの紹介なら…と社長は快くわたしを雇ってくれた

そんなこんなで、保育園から続く腐れ縁は
今も尚続いてる

『まだ余裕じゃん！』

北｢おれが待ったらあうとなの｣

極めつけは住んでる場所
同じマンション、同じ階、隣の部屋

これはまぁ、ほっくんが全部やってくれたからなんだけど

Aはひとりで生きてけるやつじゃない
とかなんとか言って

うちの親も北人くんが一緒なら安心ねとか言って

角部屋空いてなかったから
角部屋から1個隣がわたしの家
その隣がほっくんの家

角部屋には仲良しな家族が住んでた
でも、今年の3月末に引っ越しちゃった
今は空き部屋なのかもう誰かが引っ越してきたのかは分からない

同じ会社に行くから
待ち合わせしてほっくんの車で出勤

初めの頃は付き合ってんのかってめちゃくちゃ聞かれたけど
今ではそれもなくなって
逆に2人でいない方が心配される始末

みんなに驚かれるけど、付き合ってない
自分でもびっくりするほど恋愛感情が湧かない

でも失いたくない、とても大事な人ではある

北｢シートベルトー？｣

『よーし』

北｢忘れ物ー？｣

『なーし』

北｢安全ー？｣

『よしの～！』

仲良しの佐野先輩がつくってくれた
ほっくんのギャグを軽快に言いながら車が発進する

北｢今日から新人来るんだよね。やーだなー｣

『ほっくんも去年は新人だったくせに』

北｢先輩に恵まれたから。玲於さんじゃなかったらやめてた、おれ｣

『意気地無し～』

北｢大変なんだって。てか、おれ2年目なのに今年から教育係になるかもしれなくて。玲於さんと｣

『え、それは早いね』

北｢今時の厄介な人だったらどうしようかなぁ｣

『あれだね、ゆとり』

北｢おれらもゆとり世代なんだけどね｣

会社に行くまでの約20分間
ほっくんお気に入りの曲をかけながら
他愛のない話をするのがいつもの日常

教育係になるのがよほど嫌なのか
わざとらしいため息ばかりついていた

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