アソビゴコロ 〜Wedding？〜２【川村壱馬】

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ざ…っ、と砂を蹴って壱馬先輩が横を通り過ぎる
溢れた涙も拭わずに後ろを振り返ると
マスク男の胸ぐらを掴んで上半身を起こし
血まみれのナイフを壱馬先輩がマスク男に向けているのが見えた






壱｢なぁ…お前はAのためにどんだけの痛みに耐えられる…？｣


？｢う…、あ…っ｣


壱｢今、俺は右手だけ。お前が俺より血流したら認めてやるよ｣


？｢す…いませ、｣


壱｢…は？…謝れば済むと思ってるん？てめぇのせいでAがどんだけ怖い思いしたと思ってんねん…｣


？｢ほんと…っ、すっ、すいません、で…し、｣


壱｢…二度と顔見せんな。1回…ここで死ね｣






壱馬先輩がナイフを振り上げて
勢いよくマスク男の顔の横に突き刺した
まだ流れ続ける壱馬先輩の手の血が
反動でマスク男の顔に飛び散った

パトカーの音が聞こえてくる
誰かが通報してくれたんだ

先生の声も聞こえた
誰かが呼んできてくれたんだ

でも…今はそんなことどうでもいい
壱馬先輩、壱馬先輩が…






『かず…ませ…っ』






やっとの思いで声を出す
マスク男からわたしに目を向けたけど
尋常じゃなく怒りで満ちていた

こんな壱馬先輩…初めて






壱｢…A｣






あ…、
いつもの壱馬先輩に戻った

立てないわたしの元に壱馬先輩が歩いてくる
抱きしめようとして、止まった






壱｢…血、意外と止まんねぇのな｣






右手から流れる血が傷の深さを物語ってる
だって…あんなに強くナイフ握ったら…

壱馬先輩はきっとわたしに血がつくと思ってる
汚しちゃうって、怖がらせるって

そんなの、どうでもいいのに

自分から壱馬先輩に抱きついた
結局わたしは守られるだけ
壱馬先輩がいなかったら何もできない






『ごめんなさい…っ、！』


壱｢…別にお前のせいじゃない。このくらい平気だし｣


『でも…っ』


壱｢それより…怪我してねぇ？｣


『わたしの心配じゃなくて…自分の心配してください…！大怪我したかもしれないのに…っ、』


壱｢…上等って言っただろ｣






どうして…壱馬先輩はこんなに強いの？
どうして…ここまでしてくれるの？
わたし、壱馬先輩に何もしてやれてないのに
与えられるだけなのに


ストーカーは捕まって
壱馬先輩は病院へ
わたしは事情聴取をと言われたけど
先生たちが許さなかった

学校は休みにしてもらい
壱馬先輩と一緒に病院へ向かった




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