アソビゴコロ 〜Wedding？〜２【川村壱馬】

生意気 ページ37

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…朝

樹くんはまだ検査入院らしい
学校行きたくないけど、行かなきゃいけない

頭良くないから
壱馬先輩と同じ大学行く為にも休めない

壱馬先輩は 休んでもいい って言ったけど
それじゃ…負けた気がして






壱｢…おい｣


『…はい』


壱｢学校行くんじゃねぇの？｣


『行きま、す』


壱｢…じゃあ、もう離れろよ｣


『…もうちょっとだけ』






いつも通り 送ってく と言った壱馬先輩の背中に飛びついた

強がってみてはいるけど不安で
本当はずっと一緒に居て欲しくて
少しでも長く、壱馬先輩のそばにいたかった

壱馬先輩を困らせてるのわかってる
だけどもう少しだけ…






壱｢1回離して｣


『え…』


壱｢早く｣






…やっぱり困るよね
こんな駄々っ子みたいな、
壱馬先輩だって呆れちゃう

はぁ、いつになったら壱馬先輩に心配かけない
強くて大人な人になれるだろ

言われた通りに手を離したら
壱馬先輩はソファに座る
そのままわたしを見上げてくるから
どうしていいかわからず見つめ返してた






壱｢…来ないの？｣






自分の膝をぽん、と叩いて小さく言った
思いがけない事態に胸が きゅん と鳴る






『…いいの、？』


壱｢…好きにすれば｣


『ふふ…うれしい、』






膝の上は恥ずかしかったけど
壱馬先輩が自ら来ていいという滅多にない機会だから
ぴったりくっついて壱馬先輩に抱きついた

ほんと、不思議
壱馬先輩がわたしの背中に手を回してくれるだけで
ぽんぽんってしてくれるだけで
こわいのも不安も全部なくなっちゃう






『壱馬先輩…？』


壱｢…ん？｣


『今日の壱馬先輩、甘々です』


壱｢…落とすぞ｣


『今日ぐらい優しくしてください』


壱｢お前、生意気になったな｣


『…いやです？』


壱｢別に。いいんじゃね｣






視界の端に映る壱馬先輩の耳が少しだけ赤い
…かわいい

壱馬先輩は素直じゃない
それはわかり切ってることで
壱馬先輩の個性でもある

だけどそのせいで不安になったりすることも多くあって
わたしはなんでも真に受けるから壱馬先輩のことすぐ誤解しちゃう

それでも壱馬先輩はこういう些細なところで
わたしへの 好き を見せてくれるから

うれしくて、また大好きになる






『…よし、壱馬先輩行きましょう！』


壱｢大丈夫か？｣


『はい！もう元気いっぱいです』






もう…樹くんの時みたい何もできない自分でいるのはおしまいにしなきゃ




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