触れられた ページ25
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気づいたら、壱馬先輩の腕の中にいた
痛いほどに抱きしめられて
苦しいはずなのに
どこか温かさを感じてて
ふっ…、と力が抜けた
こんなに壱馬先輩のことが好きなのに…何もかもうまくいかない
壱「…お前さ、全部間違ってんだよ」
『…?』
壱「会いたいなら、俺に言え。聞きたいことがあるなら、俺に聞け。したいことがあるなら、俺に頼め。なんで肝心な時いっつも…北人なんだよ、!」
『え…』
壱「勝手なことばっか、しやがって…!お前がひとりでなんかする度、不安になる俺の身にもなれよ…っ」
『壱馬先輩、が…不安…?』
壱「はっ…、だせぇだろ。今日、朝起きてお前がいなかった時、愛想つかしたんじゃねぇかとか、樹と生徒会の仕事するって見た時、俺より樹の方が良くなったんじゃねぇかとか…」
『そんな…、』
壱「さっき健さんと一緒にいんの見た時は…!俺に嘘ついてまでわざわざおしゃれして健さんに会いに来たんじゃねぇか、とか…思って…」
『壱馬先輩…っ』
壱「お、れ…お前が思ってるよりずっと…小せぇことで不安になってばっかで…、いつもお前を失うことに怯えて生きてんだよ…、!」
壱馬先輩がわたしを抱きしめる力がどんどん強くなる
痛い、けど
壱馬先輩の声から、言葉から感じる痛みに比べたら
全然我慢できた
知らなかった
わたしばっかり不安になってるんだと思ってた
壱馬先輩はいつも余裕で大人で
どんなことにも動じない人だと思ってた
でも、違った
壱馬先輩もわたしと同じ…ひとりの人間だ
『…壱馬先輩』
壱「…んだよ、」
『うれしいです』
壱「…あ?」
『やっと…壱馬先輩の心に触れられた気がする…!』
お母様のこともそうだけど
壱馬先輩は自分のことを話してくれない
何となく聞いちゃいけないのかなっていう雰囲気もあったから
こうして聞くことができて、わたしはうれしい
壱「…ムカつく」
『ごめん、なさい…。ふふ、』
壱「…ここで服脱がせんぞ」
『な、なんでですか…!』
壱「…全部、北人が選んだんだろ?」
『そう、です。かわいいってたくさん褒めてくれて…。あっ、髪もメイクも吉野先輩が考えてくれて!』
壱「…だから、嫌なんだよ」
『…なんでです?』
壱「今のお前、北人好みの女ってことだろ」
『…そう、かな?』
壱「気に入らねぇ、」
『…え?』
熱っぽい瞳にわたしの顔が映ったのが見えたと思ったら
唇が重なってた
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mopi(プロフ) - 本当にお話素敵で大好きで土日が楽しみで仕方ないです( ; ; )これからも更新楽しみにしてます、、! (2019年7月14日 21時) (レス) id: 89fe484069 (このIDを非表示/違反報告)
kano(プロフ) - 最高すぎてこっちが… (2019年7月7日 22時) (レス) id: 07e090ba1c (このIDを非表示/違反報告)
Kissxxx(プロフ) - 土日が楽しみで仕方ない。 (2019年7月7日 8時) (レス) id: e97a57c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
apple9484(プロフ) - 早く土日にならないかなっていつも待って終わると悲しいくらいに好きです! (2019年7月6日 23時) (レス) id: 9f35d20aab (このIDを非表示/違反報告)
kano(プロフ) - ぐふぉー好きすぎる!!見てるこっちも一緒にキャパオーバーしちゃいます笑笑 (2019年6月30日 22時) (レス) id: 07e090ba1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れもん | 作成日時:2019年5月5日 18時