ハニーバルーン ２【陸×壱×北】

ずっと ページ9

北人side.




北｢かーずーま｣


壱｢んー？｣






おれとは違ってちゃんと湯船に浸かってる壱馬に

浴室の前から声をかけた


聞きたいことが、あったから






北｢なにしてきたの？｣


壱｢…べつに｣


北｢嘘つくなよ。バレてる｣


壱｢お前には関係ないの｣


北｢相棒なのに｣


壱｢…うるせぇな｣






少しだけ照れを含んだ声が浴室に響いた


…絶対なんかしてきた

でも、この感じだと話してくれないな






北｢ねーえ｣


壱｢なに｣


北｢壱馬はどう思った？｣


壱｢…なにが？｣


北｢好き…って言われて｣






どっちかっていうと、こっちの方が気になってた


反応がよく分からなかったから






壱｢…びっくりした｣


北｢ほかには｣


壱｢…それだけ｣


北｢また嘘つく！｣


壱｢嘘じゃねぇよ！お前は…どうなの。好きなんだろ｣






…わかっちゃった


やっぱり壱馬、そうだよね






北｢気使われたくないんだけど｣


壱｢使ってない。想ってくれる奴と付き合った方が幸せだろ｣


北｢そんなのおれらが決めていいことじゃないよ。だいたい何でもかんでも壱馬はひとりで決めて…｣


壱｢北人｣


北｢…なに｣


壱｢あがる｣


北｢…わかったよ、｣






…完全に話そらされた


なんで隠すんだよ



壱馬のばか






『え、おいしい』


翔｢やろー？俺たぶん天才やわ！｣


『…これだけで？』


翔｢ひど！笑｣






リビングに戻ったらAはいつもみたいに笑ってて

心の底からほっとした


翔吾がココアいれてくれたらしい



おいしいって微笑んで飲む姿、ほんとにかわいい






壱｢遅くなりました、｣


陸｢あ、おかえり｣


『壱馬くん、あの…っ』


壱｢明日、朝いらないや｣


『なん、で？』


壱｢早く家出るから。寝ます。おやすみなさい｣


陸｢おや、すみ…｣






…そんな泣きそうな顔、しないで


おれならそんな顔させないのに



こっち見て、笑ってよ






陸｢遅いし、僕らも寝よっか！｣






陸さんの一言で

みんなそれぞれの部屋に戻った






北｢…A｣






戻る前、小さな背中に声をかけると

大きい瞳がおれを見つめた



…ずっと、こっち向いてればいいのに






北｢また、明日ね｣


『うん、おやすみ。今日はありがとう』


北｢…うん｣






向かいのドア、ぱたん、って閉まって


同時におれの心もまた ちくっ とした




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