星屑ハートブレイカー 【佐野玲於】

Heart 29. ページ29

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『あの、わたし入っちゃいけないんじゃ…』


壱｢そんなの誰が決めたの。大丈夫だって｣






壱馬くんは

事務所に戻って

ボイトレするから見ててほしい

…って。



ただのヘアメイクのわたしが

いいのかなって思うけど

壱馬くんがすごくお願いしてくるから

丁寧にお辞儀してからスタジオに入った。






壱｢あ、ちょっとパシっていい？｣


『…いやだって言ってもパシるでしょ、』


壱｢バレた？笑 お茶買ってきてください！｣






両手でお願いポーズしてから


サイフをわたしに渡してきた。






壱｢Aもなんか好きなの買ってきてええよ｣


『え、悪いよ』


壱｢付き合わせるお礼やと思って｣


『…じゃあ、買ってくる』


壱｢…うん、ありがとな｣






あ…、優しい顔。


いわしょーくんが言ってたの、この顔かな。



行ってきます、ってスタジオを後にする時に

小さく聞こえた。






壱｢ダメなのになぁ…｣






って壱馬くんの呟く声。


だめ、ってなんだろう。



自販機のある階まで降りて


お茶と


自分が飲みたいものを探す。






『どーしようかな…』


玲｢Aちゃん！｣






…わっ、


わわわ、待って、待って待って待って…！！



どうしよう、玲於くんだ。


え？走ってきてる？



一気に心臓速くなって

爆発しそう、


玲於くんの方見れなくて

ずっと自販機とにらめっこしてたら


肩にポンって手が置かれた。






玲｢…無視すんなよ｣


『しっ、ししし、してないよ…！』


玲｢Aちゃん｣






ぽんぽん って肩を２回たたかれて


恐る恐る玲於くんを視界にいれようと


首を動かしたら



ぷに、



そう音がした気がするくらい


綺麗に玲於くんの人さし指がわたしの頬に触れた。





…小学生とかがよくやる、典型的ないたずら。






玲｢…ぶっ！やば、綺麗にささったわ笑｣






玲於くん、楽しそうにケラケラ笑ってる。


なんでそんなに普通なの、






玲｢ねぇ、Aちゃん｣


『な、に？』


玲｢Aちゃーん｣


『だから、なにっ…？』


玲｢…かわいい｣






…いま、



聞き間違いじゃなければ





かわいい…、って


言いました？






玲｢ほんとに、俺の声好きなんだね｣


『っ、え！？』


玲｢すぐほっぺ赤くなる、笑｣






は、恥ずかしいよ…。





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