星屑ハートブレイカー 【佐野玲於】

Heart 18. ページ18

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壱｢いい感じじゃん｣






スタジオに入ってすぐ、小声で話しかけてきた。

何のことかわからなくて壱馬くんを見つめる。






壱｢玲於さんと｣


『はっ…え！？』






壱馬くんが変な事言うから

大きい声でちゃってみんなの注目浴びちゃった。


咄嗟に口を手で覆ってみんなに向かって一礼した。



壱馬くん、それ見て笑ってるの。


…ひどい。




ドキドキしちゃって落ち着かなくて

さっき買ったレモンティー飲もうと思ってカバンの中見たら

あるはずのレモンティーが入ってない。



あれ、まさか…


玲於くんに 忘れちゃうよ？ って言っときながら

自分で忘れ物してる？



まだリハ始まらないから

確認してこようと思ってスタジオを出て

休憩室覗いたらまだ玲於くんいて。


その左手にはわたしのレモンティー。



コンコンってノックして休憩室に入る。






『玲於くん、ごめんね。置いてっちゃった』


玲｢なんだ、やっぱりお前のか｣


『うん。飲もうとしたらなくって』


玲｢あほ｣






そう言いながらレモンティー渡してくれて

ありがとう と受け取った。


また、玲於くんとバイバイだ。






玲｢あのさ、｣


『…ん？』


玲｢みんなに、呼び捨てされてんの｣


『え？いや…、壱馬くんと名字同じだからみんな名前だけど、さんとかちゃん付けだよ』


玲｢でも、壱馬…｣


『なんか同い年だからって呼び捨てしてきたの。よくわかんない』






ふーん… って玲於くん、拗ねた顔。


…え、なんだろう。

なにか嫌なことあったかな。






玲｢…やだな｣


『え？』


玲｢…呼び捨て｣






…拗ねた顔してるのって、それが原因？



どうして、どうして嫌なの？


あるわけのない良いこと期待して

落ち込むのなんて目に見えてるから

考えないようにするけど




ヤキモチ？って、嬉しくなっちゃうよ






『玲於くんは、そのままでいて、』


玲｢そのまま？｣


『呼び方…変えないでね』






いつかはね、Aって呼び捨てされたい。


でも、大好きな玲於くんに呼び捨てなんてされちゃったら

きっと心臓止まっちゃう。




Aちゃん でさえも毎回きゅんってしちゃうのに。






玲｢…壱馬は良くて俺はだめなの｣


『…玲於くん？』


玲｢…無理はすんなよ｣






最初、なんて言ったか聞こえなかった。


わたしの横を通って行った玲於くんは

少し寂しそうな顔をしていた。




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