勿忘草が揺れる頃 ４【隼×北人】

flower 157. ページ8

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１週間後、新入部員が入ってきて

また部活が賑やかになった。


ダウンしてる時に聞こえてきた

知りたくなかった話。






｢北人とエレナ先輩付き合ったらしいよ｣






まるで頭を鈍器で殴られたかのような衝撃だった。


少し離れたところにいる２人を見ると

２人とも華やかで

とってもお似合い。




エレナちゃんに言われた

何もいいとこなんてない、という言葉が胸に突き刺さる。


…確かに、そう思うよね。

北人くんに、わたしは釣り合わないもんね。






慎｢A先輩？｣






動かなかったわたしを不思議に思ったのか

慎くんが声をかけてきた。


少しだけ涙が滲んでたから

慎くんの方向かないで なに？ と返事。






慎｢…帰り、ちょっと時間もらえますか｣






…時間？


何か話がある、ってこと？



ちょっとだけ慎くん見たら

傷ついたような顔でわたしを見てたから慌てて目を逸らした。



どうして、慎くんがそんな顔するの…？




とりあえず、今は片付けしなきゃ…。


涙が零れないうちに、瞬きを何回かした。





着替えて、慎くんの話を考える。


…なんだろう、すっごく聞きたくない。




北人くんにはエレナちゃんがいるから

もう無理ですよ、みたいな話…？


むり、そんなの。

聞きたくない。



でも、あの傷ついたような顔。

何かを伝えようとしてる。


少し急いで校門に行ったら

まだ慎くんはいなかった。



隼、まだ来ないよね。

最近は前みたいに朝も帰りも隼と一緒。


隼が来る前に話し終わるといいな。






隼｢あれ、もういた｣






…来ちゃったし。


今日に限って。






『ごめん、隼。今日ちょっと用事あるから先帰ってて』


隼｢ん？待ってるよ｣


『ううん、どのくらい待たせるか分かんないし』


隼｢ひとりで平気ー？｣


『平気だよ、子どもじゃないんだから』


隼｢はいはい笑 じゃ、また明日な。気をつけて帰れよ｣






さり気なく頭ポンポンして帰っていった。


…やっぱりちょっと寂しいかも。






慎｢…好きなんですか？｣


『へっ！？』






突然後ろから声をかけられたと思ったら慎くんだった。


び、びっくりしたなぁ。






『好き…じゃないよ』


慎｢…そうですか。すいません、待たせて｣


『ううん、話…あるんだよね？』






こくん、と頷いてからゆっくり息を吸った。






慎｢北人は…まだA先輩のことが好きです｣




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