勿忘草が揺れる頃 ４【隼×北人】

flower 154. ページ5

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玲｢は、何してんのお前。寒そう｣


隼｢Aに貸した｣


玲｢あぁ、なるほど。彼シャツ的なね｣






玲於がにやにやしながら見てくる。


…やめろよ、今ドキドキしてしょうがないんだから。



バスケ部のテーブルを見ると

どうしてもAが視界に入る。


かわいい、とにかくかわいい。






玲｢これから二次会でカラオケ行くっぽいけど隼は？｣


隼｢Aのこと送って帰るから行かねえや｣


玲｢じゃあ、俺もいいや｣






…たまにかわいいじゃないですか、玲於さん。



お開きの時間になって

バスケ部から外に出る。


Aはお会計してたから

先に出て待ってようと思って店の外出たら

すぐ脇に後輩くんが立っていた。






北｢…あ、｣


隼｢…なに？｣






俺の顔を見るなり声を出したから

たぶん俺に用事。






北｢さっき、すいません。わざわざ…｣


隼｢…あぁ、別に。俺が勝手にしたことだし｣


北｢たぶんエレナさん…わざと…｣






分かってんじゃん。


なら、なんで助けないの？



もう諦めたってか？


ポッケから覗く携帯には

Aとお揃いのクラゲのストラップは見えなかった。


…なんだよ、そんなもん？






隼｢俺、部活中は守ってやれないから…。Aに何かあったら許さねえから｣


北｢…守ります｣






強い眼差し。


…この感じだけ見ると、まだAのこと、



後輩くんの気持ちを確認しようとすると

ちょうどよくAが出てきて

後輩くんは慌てて携帯取り出して連絡とってるフリをした。


でも、焦り過ぎて

手を滑らせて携帯をAの足元に落とした。






『わ…、割れちゃってないかな』






Aは拾う時に

たぶん、ストラップないことに気づいた。


一瞬動きを止めてから

作ったような笑顔で後輩くんに携帯を渡した。






北｢…ありがとうございます｣


『ううん、』






後輩くんはそのまま行ってしまって

Aはその後ろ姿を見つめてた。


その横顔は悔しいくらい綺麗で

ほんとに好きな人のこと見る顔ってこんななのかな、なんて。






隼｢A、帰ろ｣


『あれ、さっき二次会がどうのって話してたよ』


隼｢そんなことよりお前が大事｣


『あ、りがと…』






言いようのない不安が胸を駆け巡って

少し強引に手を取った。


付き合わなくていいから隣にいてって言ったけど

何か繋がりがないと、不安で押し潰されそう。


幼なじみなんかじゃ、弱すぎる。



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