勿忘草が揺れる頃 ４【隼×北人】

隼くんの憂鬱 ページ39

.




俺には幼なじみがいる


少しおとなしめで、控えめで、なんつーか大和撫子みたいな子



高校１年

初めての高校での文化祭で俺たちはちょっとしたお祭りをやることになった


いわゆる縁日ってやつ



みんな浴衣着て雰囲気出してこーぜ！ってなったのはいいものの

もう気が気じゃない






隼｢A、ひとりで外に出ない！｣


『え？だって客引き行ってこいって言われたから…』


隼｢お前は行かなくていーの。ちょ、ちょいちょい、ひま？客引きお願いしてもいい？｣






ドア付近で話してた女子２人組に声をかけたら快く いいよ って言ってくれた


だめなんだって

だってなんか…いつものAじゃないみたいだから



花火大会で見慣れてるはずなのに

学校で見る浴衣姿は何かが違う






『なんで行っちゃだめなの？』


隼｢そういうのは聞かなくていいの｣


『知りたいんだもん。教えてよ』


隼｢あーあー、聞こえなーい。いいから俺と仕事しよ！｣


『わたし隼と同じ担当じゃないよ…っ』






…だって、嫌なんだ


ちょっとでも離れてたら誰かにとられちゃいそうで



Aがいないとそわそわするし

心配でならないから、さ


俺の横にいろよ






子｢やってもいーですか！｣


『こんにちは！どうぞ！やり方知ってる？』






俺が担当してたのは射的


けっこうリアルに再現したつもり



お母さんとまだ小さい男の子が来て

男の子がAに説明を受けてる


A、子ども好きだからなぁ…

嬉しそう






『よし、じゃあやってみよっか』


子｢あれ取る！｣






男の子が指さしたのは

最後までチョコたっぷりが売りのお菓子


いろんな景品ある中であれが欲しいなんて…

なかなかの大物だな？



球は全部で５つ

３回失敗しちゃって、男の子がちょっとへこんじゃったのを見て

すかさずAが後ろから銃を構える男の子の腕を支えた






『あと２回できるから取れるよ！一緒にやってもいい？』


子｢…うんっ｣






嬉しそうに笑った男の子を見て

Aもかわいい顔して笑う


あー、やっぱり普通にかわいいんだよなぁ



なんて事考えてたら某お菓子にパンｯと球が当たって下に落ちた


やったぁ！！ってハイタッチして喜ぶ２人の所に行って景品を渡す






隼｢おめでとう！うまいな！｣


子｢ありがとう！お兄ちゃん、お姉ちゃんのかれし？｣


母｢こら…っ｣






突然の質問に２人で顔を見合わせる




.

……＊→←あとがき＆次回作のお知らせ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す