勿忘草が揺れる頃 ４【隼×北人】

flower 184. ページ35

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たぶん目が合って あっ て顔して逃げるように走り出した。


絶対…そうだ。






『…北人くん、ちょっとだけわがまま言ってもいい？』


北｢ちょっとだよ？｣






そう言った後

とん… と背中を押してくれた。



…気づいてる。

いつもそう、優しく背中を押してくれるの。


こんな勝手なわたしを

北人くんは

まるで


頑張れ って言ってくれてるみたい。






『ありがとう、ごめん…っ』






わがままは、今日で最後にするから。



ドレスの裾を持って、走り出した隼を追いかけた。


A！？ってサキの声が聞こえたけど

ごめんなさい。



どうやら隼は

少し複雑な協会の道の造りに戸惑ったらしく

あたふたしながら視線をさ迷わせてる。



声が届く範囲まで来て 隼！ と呼べば

見違えるほど大人びた隼がわたしを見た。


げ、って顔してまた逃げる。



小さめの噴水を挟んで見つめ合う。



…何だか、高校の時もこんなことしたな。






隼｢…人違いです｣


『わたしが間違えるとでも思ってるの？』


隼｢…ごもっとも｣






行けない、って言ったのに

どうして来てくれたの？


それにね、わたし

隼に聞きたいことがあるの。



空港で渡してくれた、あの紙。






『…帰ってきたの？』


隼｢ううん。またすぐあっち戻る｣


『なんで…』


隼｢Aの結婚式、見ないわけには行かないじゃん？でも、何か幼なじみのそういうの見るの…気恥ずかしくて、｣






だから、内緒で来て

気づかれないようにしてたんだ。






隼｢びっくりするぐらい綺麗だった。俺、Aのこと好きだったの間違ってなかったなーって｣


『隼…』


隼｢おめでとう、A｣






どうしてわたし、隼の言葉に弱いんだろう。


すぐ、涙が出てくる。



きっと散々、わたしが子どもだったせいで

隼の気持ち踏みにじってたのに

間違ってなかった、なんて言われたら



…泣いちゃうよ。






隼｢また余計なこと考えてるなー？｣


『え、？』


隼｢好きになってほしいとは思ってたけど、つらいなんて思ったことなかったから｣


『はや…』


隼｢だから、泣くな｣






どこまで、わたしのこと分かってくれるの？


何度、隼に助けられてきたんだろう。



ドレスの裾をぎゅっと握って俯いてたら

いつの間にか隣に来てた隼が

優しく肩を抱いた。






隼｢花嫁さん、かわいい顔が台無しですよ｣






そう言いながら隼は笑った。




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