勿忘草が揺れる頃 ４【隼×北人】

flower 180. ページ31

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『…なんでそういう大事なこと言ってくれないの？』


隼｢ごめんって！怒んな…っ、｣






…悔しくて、隼の首に腕を回した。


いつの間にか追い越されてた背。

背伸びしないと抱きつくこともできなくなったよ。






隼｢あー…ばか、｣


『隼の方がばかだよ』


隼｢違くて…そうじゃなくて、｣


『…なに？』


隼｢…ごめん、好き｣






今まででいちばん、愛おしいって感情が伝わってくる声だった。



隼、って名前を呼ぼうとしたら

グイッ、て後ろから誰かに引っ張られた。



誰か、なんて分かってるけど。






北｢…ちょっとくっつきすぎ｣






この雰囲気の中

ヤキモチ妬いちゃう北人くんが、わたしは好き。



後ろからわたしを抱きしめて

隼に視線を向けてる。



こんな時まで敵対視しちゃうんだから、






隼｢ごめん、笑｣


玲｢…隼。時間｣


隼｢あー、わり。行くわ｣






佐野くんを見たら

笑いながら小さく手を振ってくれた。


佐野くんも何だか、大人っぽくなったなぁ…。



１度、わたしたちに背を向けた隼が あ！ と声を出して

またわたしたちのほうを向く。






隼｢これさぁ、渡そうと思ったんだけど恥ずかしくて渡すタイミング見失ってたやつ｣


『…なに？これ』


隼｢Aが大好きなもの｣






かわいらしくラッピングされた袋を開けたら

出てきたのは勿忘草が入ったイヤリングと乱雑に折りたたまれた紙。






隼｢それ、世界に１個しかないから大事にするんだぞー｣


『わ、ざわざ…？』


隼｢大好きなお姫様のためですから。…なんつって笑｣






また、涙出てきちゃった。


わたしの顔見た隼は、さっきみたいに困った顔しながら涙拭うの。






隼｢じゃあ、行くね｣


『…うん、』


隼｢かっこよくなって帰ってくるから｣


『うん…っ』


隼｢惚れないでね？｣






何言ってんの、って言おうとしたら


おでこに感じる温もり。






北｢あっ…！｣


隼｢隙あり！笑 北人、Aのことよろしくな。行ってきます！！！｣






おでこに…キスされた。


後ろで北人くんが もう〜… って怒ってる。



笑った隼は、かっこよくて強くて

ほんとに自慢の幼なじみだなって

改めて思えた。






『…隼！』






遠くなった隼の背中に呼びかけたら

すぐに振り向いてくれる。






『行ってらっしゃい…！』






目が線になるくらいにくしゃくしゃな笑顔を見せた隼は

やっぱりわたしの太陽だ。




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