勿忘草が揺れる頃 ４【隼×北人】

flower 153. ページ4

隼side.




結局、Aがいろいろみんなに気を使ってて

水上さんは何もしていない。


後輩くんもなんか言ったらどうなんだよ。



少しイラつきながら玲於が残したサラダのきゅうり食べてたら

水上さんが立ち上がって端に座るAの横通り過ぎる時

わざとらしく手を大げさに振って

Aのドリンクをこぼした。


けっこうな音をたててグラスが割れた。



…は？






エ｢あっ、ごめん！大丈夫？濡らしちゃった…！｣


『だ、大丈夫！エレナちゃん濡れてない？』






…自分の心配しろよ。


音に気づいて店員さんがグラス片付けにきたの手伝ってる場合じゃないだろ。



我慢できなくて、立ち上がってAの所に向かった。


近くの店員さんにタオル借りて

びっくりしてるAの腕掴んでトイレに。



運良く多目的トイレがあったから、そこに入る。






隼｢とりあえず拭きな。あー、相当濡れてんな。ちょっと待って｣






このまま帰らせるわけにはいかない。


そう思って自分が着てたトレーナー脱いでAに渡した。






隼｢俺目つぶってるからこれに着替えて｣


『え…、隼が寒くなっちゃうよ』


隼｢まだシャツ着てたし、これから帰るだけだから平気だよ。ほら、早く｣






Aに背を向けて

ぎゅ、と目を閉じた。


ちっちゃい声でありがとう、と言ってから

着替えだしたっぽい。



…それにしてもあいつ、まじで許さねぇ。


ふざけんなよ、ほんと。


もしかして、今までAが悩んでたのも

全部あいつが原因なんじゃないかとか思ってきたわ。






『隼、着替えたよ』


隼｢おー。袋もらって洋服いれ…よ、｣






振り返ってAを見たら

もともと大きめのサイズだったから

膝上くらいまで丈あって

もうぶかぶかで…何か…とりあえずかわいすぎ、ってやつ。






『隼、おっきいね。おかげでデニムも脱げちゃった』






膝上まであるからってデニムまで脱いだの？


え、は？



この下履いてないの？



ちょ…






隼｢無防備すぎ…｣


『え、なに？』


隼｢何でもない、出よ｣






自分の服着て

長い袖一生懸命まくって

白い足見せて

理性保てって方がむり。


ドア開けようとしたら

Aが俺の腕きゅ…って掴んできて

胸が熱くなる。






『隼…ありがと、嬉しかった』






あぁ、だめだ。


また、好きになった。




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