勿忘草が揺れる頃 ４【隼×北人】

flower 177. ページ28

.




教室で泣きながら話をする人


最後だからと笑い合ってバカしてる人




最後の過ごし方は人それぞれ。


隣にいるサキは一生懸命涙をこらえてる。






『…泣いてもいいよ？笑』


サ｢何か…悔しいじゃん｣






子どもみたいなサキの姿に笑っていると


自分の席に座った隼が目に入った。



とっても清々しい顔をしていて

何だかかっこよかった。






サ｢…終わっちゃうね｣






サキの言葉に

今までのことが次々と思い浮かんでくる。



…ほんとに、いろんなことがあったなぁ。



今後、こんなに濃い日々を過ごすことはないんじゃないかってぐらい。


これが、隼の言ってた 青春 ってやつかなぁ。






陸｢おーい！バスケ部の集まり行こ！｣






思い出に浸ってたら

陸くんと涼太くんがドアの前に立っていた。


…もうそんな時間か。



毎年やってる、プチ三送会。



サキに 後でね と伝えてから

２人の所に行った。


教室を出る時

ふいに隼と目が合った。



とっても大人っぽい微笑みで小さく手を振った隼に

何だか少し胸騒ぎがした。




お呼ばれした教室に行くと

黒板に大きな文字で おめでとう と書いてあった。



ひとつの教室じゃ狭いくらいたくさんの部員で溢れた部活。


いい先輩、後輩に恵まれて

ほんとに幸せだったな。



結局エレナちゃんはマネージャーをやめちゃった。


前みたいな嫌がらせもなくなって

ただほんとに北人くんのことが好きだったんだろうなって思った。

その気持ちの方向が間違ってしまっただけ。




かわいらしいお花のブーケをもらって

写真をみんなで撮ってたら

慌てたようにサキが走ってきた。






サ｢A！小森くんが…！｣






隼…？


みんなが注目してしまってたから

サキのとこに行って話聞こうとしたのに

慌ててるからそんなの気にしてないみたい。






サ｢今日LA行っちゃうんだって！｣






…え？


わたしには、４月って言ったよね。



な、んで…今日？






サ｢さっき、小森くんのお母さんが迎えに来てて…っ、聞いたら今日出発だって…！佐野くんともう空港向かってる！｣






隼のあの微笑みは

もうしばらくわたしに会うことはないって分かってたから？


決意した、笑顔…？



卒業式で泣かなかったのに

今になって涙が出てきた。






北｢行こう｣


『…っ、』


北｢タクシー使えば間に合う｣






真剣な顔をした北人くんが

わたしの腕を引いて走り出した。




.

flower 178.→←flower 176.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す