勿忘草が揺れる頃 ４【隼×北人】

flower 176. ページ27

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それから季節なんてあっという間に過ぎて

気づけば冬。


卒業の時が近づいていた。



卒業式を明日に控えた今日は

北人くんのお家にお泊まり。






北｢…ほんとに卒業すんの？｣


『え…、するよ』


北｢はぁ、ほんとなんで年下なんだろ｣






部屋の電気を消して

２人でベッドに入って寝る準備万端って時に

腕枕してくれてた手でわたしの頭を撫でながら言った。



…寂しいのかな。


ごろん、と寝返りを打って、北人くんの方を向く。

少し眠そうな、寂しそうな

そんな瞳と目が合った。




北人くんの雰囲気に似てふわふわな髪の毛を撫でれば

気持ちよさそうに目を閉じる。






北｢…待っててね｣


『…ん？』


北｢ちゃんと一人前の男になったらA先輩のこと迎えに行くから｣


『…うん、待ってる』


北｢ありがと、吉野Aさん｣


『ちょっ…、まだ早い』


北｢いいじゃん、レストランの順番待ちの時とか書いてよ。吉野って｣






北人くんの体もいつの間にかこっちを向いてて


さっきよりも近くなった距離。




お花見した時に北人くんに言われてから


週に３回は泊まりに来てる北人くんの家。



ありがたいことに

うちのお母さんも北人くんのお母さんも

とっても応援してくれてる。



お父さんはまだちょっと納得いってないけど。






北｢んー…ねむ｣


『…寝たら？』


北｢…A先輩は？｣


『まだ、眠くないかな』


北｢…俺も寝ない｣






眠そうに瞬きしながら

足を絡ませてきた。


一生懸命、寝ないように頑張ってる姿がかわいくて

思わず背中をトントンしちゃった。






北｢…赤ちゃんじゃないよ｣


『こんな赤ちゃんみたいなほっぺして？』


北｢…うるせぇ、｣






つんつん、ってほっぺつついたら

いきなり触れる唇。


だんだんと深くなって

吐息が漏れる。






北｢赤ちゃん、こんなことできないから｣


『…ずるい』


北｢ふふ、俺の勝ち｣






そう言って目を閉じた。



すぐに聞こえてくる寝息に

愛しさが募る。




…わたしだって寂しいよ。


高校で北人くんに会えなくなるの。



でも、一緒に住んでくれるんでしょ？




北人くんの頬に触れたら

そこからぬくもりが伝わってきて

わたしの頬が緩む。






『…おやすみ』






無防備な唇に ちゅ とキスをしたら


北人くんは少し微笑んで






北｢…A｣






と、名前を呼んだ。




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