勿忘草が揺れる頃 ４【隼×北人】

flower 175. ページ26

北人side.




母｢わたしたち中にいるから、あとは２人で楽しんで♡｣


北母｢北ちゃん、変なことしちゃいかんからね｣


北｢変なことなんてしんから！｣






にやにやする母２人は手を振って家の中に入っていった。


…A先輩と２人になれたけど

お母さんのせいで変な空気に、






『今ちょっと方言出た？』






…なってなかった。


嬉しそうに方言のこと聞いてくるA先輩。






『わたしね、１個覚えてるんだよ』


北｢方言？なに？｣


『てげ好きやっちゃわ！』






咲いているどの花よりも綺麗に笑って

俺に向かって言ってきた。



ほんとにかわいくて

好きが胸に募って

甘い苦しさが広がっていく。



俺が何も言わないのが不安になったのか

首を傾げながら 間違ってる？ って聞いてきた。






北｢ううん、合ってる｣






ゆるくA先輩を抱きしめたら

外だよ〜…！ って恥ずかしそうに頬を染めた。


緩む頬がバレないように

お弁当食べよ って話を逸らした。






北｢今日も豪華〜！｣


『朝から作ってたらね、お父さんに運動会かって言われちゃった笑』






朝から、って。


かわいいなぁ…。

あー、だめだ。



なんでこんなに好きなんだろ。

ずっと、ずっとずっと触れてたい。






『北人くん？』


北｢せっかく２人だから｣






A先輩を自分の足の間に座らせたら

すっぽり収まる小さな体。


俺も細いって言われるけど

A先輩はもっと細い。



なのに、触ったら柔らかいし

抱き心地いいし…。




見えるうなじが色っぽくて

軽くそこにキスをしたら

ひゃあっ！？って声あげて

振り向いて俺を見たから。



その瞬間に唇を奪ってやった。






『もう、油断も隙もない…』


北｢男の子だからね｣


『なにそれ〜…』






お弁当食べながら

他愛のない話をしてた。


A先輩と過ごす時間はほんとに穏やかで

俺たち以外いないんじゃないかって錯覚させる。






北｢そういえばね、お揃いのマグカップ買ったんだ｣


『え！嬉しい〜』


北｢早く俺の家にいろいろ持ってきなよ｣


『何持ってくの？』


北｢服とか歯ブラシとか｣


『歯ブラシ？笑 それ一緒に住むみたい』


北｢住もうよ｣






目を丸くしたA先輩が俺の顔を見た。






『それ、プロポーズに聞こえるよ…？』


北｢…ちょっと意識したんだけど｣






これから一生、A先輩といたいから。




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