勿忘草が揺れる頃 ４【隼×北人】

flower 168. ページ19

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これならって思ったわたしが間違いだった。


動きづらいったらないよ…。






『北人くん、お腹すいた？』


北｢すいた｣


『離れてくれたらもうちょっと早くできるんだけどなぁ…』


北｢うそ、やっぱりそんなにすいてない｣






な、なんて分かりやすいうそ…。


ゆるくくっついてるだけだったのに

いつの間にかぴったりと数ミリもあいてないんじゃないかってぐらい近くにいて

移動するのも大変なくらい。



でも、いい匂い〜とか

上手だな〜とか

ちょっと舌っ足らずな感じで言ってくるから


愛おしくて

北人くんが嬉しそうならいいかなぁ、なんて思っちゃってる。






北｢…ねぇ？｣


『うん、どうしたの？』






あと卵をのせれば完成ってところで

北人くんがお腹じゃなくて首に手を回してきた。






北｢俺と離れてる間さ、小森先輩と…何かあった？｣


『何か、って…』


北｢恋人っぽいこと、してない？｣






後ろからわたしを覗き込む表情は少し不安そうで

別に恋人らしいことなんてひとつもしてないから

してないよ って答えようとした時

裸の隼に抱きしめられたの思い出して

一瞬言葉に詰まってしまった。






『……してないよ』


北｢何、今の間。あったでしょ。ねぇ、何したの｣


『な、何もないってば。オムライス温かいうちに食べよ！』






少し強引に北人くんの腕から逃げようとすると

あっという間に体を北人くんの方に向けられて

至近距離で見つめられる。



この顔…ヤキモチ妬いてる顔だ。

ど、どど…どうしよう…。






北｢言うまで離さない｣


『そっ、それは困る…』


北｢じゃあ、言って？｣


『……だ、抱きしめられた、だけ』






これなら、北人くんもまだ大丈夫かな…？


近くにある北人くんの顔見たら

まだ納得いってないみたい。






北｢…ほんとにそれだけ？｣


『そ、れだけ…』


北｢…ふぅん？｣






…絶対気づいてる。


こ、これは正直に言うしか…。






『ごっ、ごめんなさい…！お風呂上がりの裸の隼に抱きしめられました…っ』


北｢はぁっ！？一緒にお風呂入ったってこと！？｣


『えっ！？ちっ、ちが…！』


北｢信じらんない、俺だってまだなのに…｣


『だ、だから違…』


北｢今日一緒に入ろ。じゃないと、許さない｣






ぜ、全然話聞いてくれない…！


一緒に、なんて絶対無理に決まってる…。




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