勿忘草が揺れる頃 ４【隼×北人】

flower 166. ページ17

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北｢もう、心臓壊れそう…｣


『…北人くん』


北｢A先輩、ごめんね。俺、ガキだからひどいこと言っちゃって…｣






…ひどいこと？


思いつくことなんてひとつもないほど

北人くんはいつも優しかった。


わたしが、謝らなきゃいけないのに。






北｢あ、これ…｣


『…つけてきちゃった』






クリスマスにもらったネックレス。


北人くんがそれを手に取ってキスをした。



その瞬間、まるで自分にキスされたかのような感覚になって

思わず北人くんに抱きついた。






北｢…待って、ほんとやばい｣


『…ん？』


北｢ほんとに俺のこと好き？｣


『大好きだってば、笑』


北｢あー…、また泣きそう｣






手を目にやって

涙を我慢する北人くんに

自分の今までの気持ちを話し出した。






『北人くんが言ってた通りね、わたし隼のことが好きだった。
でも、北人くんと付き合った時は完全にじゃなかったかもしれないけど、北人くんに気持ち揺れてたの。
付き合ってからは、たくさん北人くんに助けてもらって、想ってもらえて、すっごい幸せでね。
このまま北人くんとずっと一緒にいれたらいいって思ってた。
なのに、わたしバカだから…自分の気持ちにもちゃんと気づけずに北人くんを傷つけちゃってた。
ほんとに、ごめんなさい。
いろいろエレナちゃんのことで嫉妬して、北人くんに嫌な思いさせちゃった。
…隼に告白されて、隼と付き合えば幸せになれるかなって思ってたんだけど、北人くんのこと思い出してる自分がいて…。
わたしの中で、北人くんっていう存在が大きいことにやっと気づけた。
たくさん遠回りしちゃったけど…、わたしが隣で笑ってたい人は、北人くんです。
吉野北人っていう人が…誰よりも何よりも…っ、大好き…！』






…伝わったかな。


北人くんは相変わらず手で目を隠してて

どんな顔してるかいまいち分からない。






北｢…俺の方こそ、危機感とかなさすぎて、エレナさんに好き勝手やらせちゃったり、A先輩のこと想いすぎちゃったり…ごめんなさい、｣


『…そんなこと、』


北｢慎とかエレナさんから全部聞いた。俺…エレナさんとキスしてないよ｣


『…え』


北｢このネックレスもひとりで選んだし、エレナさんと付き合うわけないし。ほんと何もない。むしろ嫌い｣


『え…！？』


北｢だってA先輩のこと嫌いとか言うし、すぐ嘘つくし、しつこいし…｣






ほ、北人くんって…腹黒…？




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