勿忘草が揺れる頃 ３【隼×北人】

flower 141. ページ42

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…見られた。


北人くんに、隼とキスしてるとこ見られた。






北｢何し…て｣


隼｢俺が無理やりキスした｣


『…隼？』


隼｢お前のことで泣いてるA見て、我慢出来なくてキスした｣


北｢何してんですか…｣


隼｢お前こそ何泣かせてんの？誰にも渡す気ないって俺に言ったよな？だったら手離してんじゃねぇよ！！｣






隼が北人くんに掴みかかる。


見てられなくてぎゅっと目を閉じた。






北｢離したつもりないんですけど｣


隼｢じゃあ、なんで泣いてんの？辛いからだろ？お前のことで悩んでるからだろ！｣


北｢泣いてるからって思って、誤解とかなきゃって思って今来たんですよ！それなのに…っ｣






誤解…？


北人くんの言葉に目を開けて２人を見たら

隼の胸ぐら掴んで今にも殴りそうな勢いだった。






『っ、北人くんやめて！』






手を振りあげた北人くんにしがみついて止めた。






『隼は…何も悪くないの！わたしが、わたしが…』


隼｢A、いいよ。危ないから…｣


『よくない！』






わたしが隼を見ると

北人くんは大きなため息をついて隼から手を離し

わたしを優しく押した。






北｢…もういいです｣






消えそうな声で言ってから靴を履いて帰ろうとしたから

慌てて北人くんにしがみついた。






北｢…小森先輩のこと庇うんですね｣


『え、？』


北｢A先輩、気づいてましたか？｣


『な、に…？』


北｢A先輩…付き合ってから１回も、俺に好きって言ったことないんですよ｣






…え？


う、そだ。

だって、あんなに北人くんのこと想ってて

大切だって思って…。



大切だって、思って？

思って、わたし…好きだって感じたことあった？


大切だ、大事だって思ってたけど

好きだって…北人くんに、感じたこと…あった？






北｢それがA先輩のほんとの気持ちなんですよ｣


『…待って、そんなこと、』


北｢いくら大切だ、大事な存在だって思っても、それが好きの気持ちと繋がるとは限らない｣






北人くんが大好きって伝えてくれるから

わたしも勝手に伝えてると思ってた。


北人くんに、甘えてた。



わたしは、北人くんのことちゃんと好きだった…？






北｢ずっと…待ってた｣


『ほ、く…』


北｢A先輩は、いつか言ってくれるって｣






傷ついた顔をしてわたしを見て

泣きそうになりながら言った。






北｢大好きなのは…俺だけだった…っ｣




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