勿忘草が揺れる頃 ３【隼×北人】

flower 115. ページ16

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エ｢ほっくん！はい、水｣

エ｢今のプレーすごかった！｣

エ｢さすがほっくん〜。かっこいいなぁ｣






エレナちゃんが転校してきてから１週間。


あからさまに北人くんに話しかける話しかける…。



北人くんとは相変わらず何だかすれ違ってる気がするし。

でも、北人くんはエレナちゃんに話しかけられる度

嬉しそうに笑ってるの。


毎日毎日、朝練も放課後の練習も。



北人くんと話せてない。




エレナちゃんが新しいドリンク作りに行った時に少しだけ休憩になって

みんなにタオル配ってたら

北人くんがTシャツの袖で額拭きながら小走りで駆けてきた。



い、今チャンス…？



タオル持つ手が少しだけ震えてる。






『北人く…』


エ｢あ〜、ほっくんすごい汗！笑 はい、どうぞ｣


北｢あ、ありがとうございます｣






ドリンク作り終わってエレナちゃんが

わたしの後ろから走ってきて

すかさず北人くんにタオルを渡した。


行き場のなくなったタオルが無性に悲しく見えた。






エ｢冬でも体育館はこもるよね｣


『あっ、そうだね…』


エ｢大丈夫？元気ない？｣






心配そうにわたしの顔見て声をかけてくれる。


エレナちゃん、すごく優しくて

たくさん話しかけてくれる。



北人くんとのことなくしたら

第一印象と違って

すごくいい子で好きなんだけど


…心狭いからかな。

好きだなんて思えないよ。



部活終わって

今日も北人くんと一緒に帰れないんだろうなって思いながら更衣室出たら

先帰るね、と言ったエレナちゃんが

北人くんと少し先を歩いてた。



…え？


一緒に、帰るの？




信じたくなくて

違う、絶対違うって思いながら少しあとを歩いてたら

校門出て右に曲がった。



北人くんの家はわたしの家の方向と同じだから

まっすぐ帰るはず。


それを慎くんの家の方向に歩いてった。






慎｢あ、お疲れ様です｣






後ろから慎くんが走ってきて

そのまま2人に合流した。


慎くんが北人くんに何かを言うと

北人くんはこっちを振り向いて






北｢A先輩！また明日！｣






にこにこ手を振って３人並んで帰っていった。


…わたしの入ることのできない、知らない北人くん。



遠くなってく背中見てたら、涙が滲んできた。


もう、終わりなの？

こんなにさらっと帰れちゃうくらいの存在なの？






隼｢A？お疲れ、帰り？｣






しばらく動けずにいたら

今は会いたくなかった、人。




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