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「強情だねぇ。」
太宰さんはクック、とまた笑う。
強情かも知れない、然しそれの何が悪い。
誰が好き好んで自らが異能者であると、殺人者であると、
簡単に認めるのか。少なくとも私は違う。
「仕方ないか。芥川君。」
芥川君を見ながら太宰さんはクイッと顎で私を指し示す。
ゾワッと厭な予感がした。
「赦せ、娘よ。」
また外套は変形し、今度は私に向かってきた。
殺される、死ぬのか。
…そんなの、厭だ。
「やめて!」
私は心の限り叫んだ。
芥川君に届けば、と願って。
目の前にものすごいスピードで伸びてきていたはずの
芥川君の外套は、私の目の前で止まった。
慈悲か、それとも…
「…何故だ。黒獣が動かぬ。」
その言葉に驚いた。
芥川君の顔を覗くと、目を細め焦りさえ伺えた。
これは、演技?
「ハハ、素晴らしいねぇ。」
太宰さんは相変わらずニコニコしながら
私と芥川くんを見比べた。
そして、満足そうに頷く。
それを私は無表情で見つめた。
「一寸失礼。」
そう言って私に駆け寄り、黒獣…?に手を近づけてから私にも振れた。
その瞬間、黒獣が動いたが太宰さんの異能に掻き消された。
「証明完了、違う?」
太宰さんは満足そうに微笑んでいるけど、
私は唯ひたすら目の前の事実を否定する理由を探した。
でも無い、見つからない。
何故無いのだ、何故見つからないのだ。
私は腰の力がフッと抜けてしまい、
その場に弱々しく座り込んだ。
ガシャっと手錠が音を立てた。
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作者名:はるんぱ x他1人 | 作成日時:2017年6月25日 21時