真実はいつも残酷で【文スト】 (ページ7)

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「あの。太宰さん。」

頭の中で太宰と呼んでいたから、
思わず敬称をつけずに呼びそうになり、
ぎこちない呼び方になる。

それに気づいて、フフ、と笑う太宰さん。

「なんだい？」

「貴方は何者なのですか？それに、あの男達は何者だったんですか。」

この質問は、何度もしようと思ったのだ。
何故あの場に太宰さんは現れ、私を連れ去ったのか。

そして私の母を殺し、何故か死んでいった男達は何者か。

太宰さんは私が "異能" であいつらを倒したと
信じているようだが私は信じない。
絶対に、絶対にありえない。
もしありえてしまったら、そう思うと吐き気を催す。

「聞いて驚かないでおくれよ。
私はポートマフィアの一員だ。」

淡々と、その事実を口にする太宰さん。
…ポートマフィア。
驚きのあまりポカンと太宰さんを見つめた。

母の生前には関わることのなかった世界。
そこに図らず足を突っ込んでしまった。
私はもう元に戻ることは出来ない、そう悟った。

「おーい、聞いてる？」

「き、聞いてます。」

頭をぐるぐると回る、マフィアの四文字。
これからの未来に嫌な予感しか感じない。
何でこうなった、私の人生。

「大丈夫かい？」

「いえ…あまり大丈夫では…」

「まぁまぁ。落ち着き給え。」

ヘラヘラっと笑う太宰さん。
そんなヘラヘラされても、とは思ったが口を噤む。

「男達の話に入ってもいいかな。」

「あ…はい。大丈夫です。」

あまり大丈夫では無いのだが。
先刻そう告げた筈なのに、太宰さんは話を続ける。
自分のペースで生きてる性なのだろうか。

「あの男達は、マフィアと敵対する武装団体。
罠を仕掛けておびき寄せ、排除する予定だった。
然し、着いた時にはもう死んでいた。
そういう次第だ。」

矢張り素直に呑み込めない話だ。
第一、武装団体なるものが現実に存在してようとは。
自らの平和ボケに呆れた。

「他に聞きたいことは？」

「いえ…」

「じゃあ、もうそろそろ入れても大丈夫かな。
芥川君、入っていいよ。」

例の芥川と呼ばれる人。もう着いていたのか。
よく気づいたな…

「失礼します。」

そう言う声とともに、扉が開いた。

入ってきたのは、暗い雰囲気の少年だった。