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切島side
多分春日井は、轟のことが好きだなこれ。
教室開けたら二人でいるとか、な。
でも春日井は俺をパンケーキ屋に誘ってきた。
俺じゃなくてもいいんだろうなと思う。
本当は轟がよかったんだろうけど。
正直納得いかねー…けど。
ここで引き下がるのはなんか悔しいっつーかなんつーか。
春日井が俺を利用するのならば、おれはその機会を
俺の中のチャンスに変えてやる。
帰り道。
「そういや砂藤がこの前パンケーキ作ってくれたな」
「どうしよう！砂藤くんのパンケーキの方が断然おいしいってなったら！」
それはそれでいいんだけど、誘った私がアホみたい…と小声で言う春日井。
と、何か思いついたように俺を見た春日井。
「もしおいしくなかったら私と食べに行ったっていう思い出補正でカバーして！」
にへへと笑う春日井。うーん、可愛すぎねぇか？
「ま、初めて行くもんな春日井と、パンケーキ」
「そうだね、楽しみ」
教室で見た時の緊張した顔とは違って、すごく今自然に楽しそうにしてくれている。
正直ほっとした。
小さな声で美しい歌声が聞こえてきた。
もちろんその声の主は、今一緒に歩いている春日井。
心地がいい。クラスの中で俺しか知らないのかこの歌声。
むしろ、誰にも知られたくねぇな。
そんなことを思いながら、贅沢な時間を過ごした気持ちになりつつ帰路をたどった。
その日の夜。
連絡を入れてみた。
“テストの点数、どっちが上でもパンケーキ行くだろ？”
正直、俺が勝たないと行けないとなったら
必死こいて勉強してやる気満々だった。
逆に。春日井が勝たないと行けないとなったら
俺わざと間違えようか。
…それは漢らしくねぇか。
なんて考えていたら返事が返ってきた。
“行って…くれるの？”
なんとなく、嬉しいのかなと文から感じ取った。
そこで俺はちょっといじわるをする。
“轟と行くんなら、俺は邪魔しねぇけど”
すると。ブー！ブー！
着信がかかってきた。
「鋭ちゃんと行きたいの！伝わってる？！」
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作者名：ささみ | 作成日時：2021年2月21日 3時
