手がかり ページ7
探索開始から一週間。
今回は現代世界のようだが、ふと少し知っているような反応が見つかった。
「おや……巧さんの世界ですか」
知り合いの住む世界であることに気付いたと同時、オシストは早々にマールドの捜索を止め、思考を始める。
「ふむ……わかってはいましたが中々途方もない作業ですね……」
最初よりかはマシになった疲労感を感じながらもオシストは軽く絶望に近い何かを覚える。
「にしても……マールドさんはどこに……というか、そもそも無事なのでしょうか……」
マールドがいなくなったことはあったが、その所在すらわからないのは今回が初めてである。
あの一件以降(多分原因っぽい)クロロにも問い詰めてみたが、風邪で朦朧とする意識の中誤って転移させてしまったかもしれないとのことで、やはり手がかりは得られなかった。
「やはり虱潰しに探していくしかないんでしょうかね……」
ふと亜空間から食事を取り出し取り始めたところで、オシストがあることを思い出した。
「そういえば……時たまアルフィーさんから手紙が届くんでしたね……基本ヲタク談合ですが……何かあるといいです、ね……?」
確かに、約週一回は亜空間を通じて送られてくる手紙だが……
と、ここでオシストの脳に閃きが走る。
「そうだ……そういえばサンズさんやマールドさんの物と繋がっているんですね……はっ!」
オシストを中心とした、銀行に似たシステムのそれはオシストが全員分の持ち物を管理できるようになっている。
当然ながらマールドの物もある。
「どれどれ……」
少し失礼だが、マールドの荷物を漁ればマールドの消息がわかるだろう。
そうして覗いたその空間には。
「……え?」
大量のケチャップの空きが乱雑に転がった、マールドのそれとは思えないほど汚い空間。
180ダースほどあったはずのケチャップは、その3/4程が空になっており、更によく見てみればあのコートと和服が消えている。
そう観察しているうちに、また一つケチャップが消えた。
「ふむ……どうやら生きているのは間違いないようですが……かなり厳しい立場のようですね……」
あのコートは魔力を断ち切り、姿を眩ませる暗殺者向けのもの。
「……やはり、急がなくては」
マールドの生存を確認し、オシストは再び魔力を回復させようとする。
その目に、再び希望を宿らせながら。
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アスナ(復活)(プロフ) - 作品見ました!すごい面白くて引き込まれちゃいました! 更新頑張って下さい! (12月10日 11時) (レス) @page41 id: bbcff10712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時:2023年6月25日 8時