終幕 ページ46
「ふぅ……案外何とかなった……」
「あっ……ま、まぁるどくん!」
やりきったとばかりにへたり込むマールドに、カナエが駆け寄る。
「えっと……平気?」
「体はな。ただ……あんまり慣れない戦闘したもんでな……全身が怠い。歩けるかどうかも微妙なとこだ……」
「そう……よかった……」
ひとまずは安心したようだが、何かに気付いた様子でカナエは振り返る。
「姉さん、無事!?」
声を上げながらカナエの元に走ってきた、カナエに似た女性。
カナエを姉さんと呼んでいることから恐らく妹だろうか。
「しのぶ……えぇ、なんとかね。大きな怪我はないけれど……肺がちょっとやられちゃって。もう呼吸は使えそうにないのよね……」
「っ……それでも、姉さんが無事でよかった……!」
「……」
カナエを固く抱きしめるしのぶを見て、早くこの場を去ろうとするも上手く体が動かない。
そんな様子で逃げようとするマールドを、少ししてしのぶは目敏く見つけた。
「っ、待って、この鬼は!? もしかしてこいつが……」
「違うの!」
マールドを見るや否や刀を抜いたしのぶに、カナエはマールドの前に立って説得を試みる。
「この人は……私を上弦の弐から守ってくれたお友達なの!」
「……はっ?」
その言葉に、流石にしのぶも呆気に取られ、信じられないというような目つきがマールドとカナエを交互に見る。
「いや……だって……鬼は人を食らって……」
「……別に信じなくてもいいが……カナエ、別に今ここで殺してくれてもいいんだぞ?」
「命の恩人にそんなこと出来る訳ないじゃない!」
マールドが諦めたようにそう言うもカナエは断固拒否。
暫く混乱したしのぶとの押し問答が続いたが、やがて一匹の鴉がやってきた。
『伝令! 伝令! オ館様ヨリ伝令ィィ! 人ヲ食ワヌ鬼! 殺サズ捕獲セヨ!』
「「……!」」
「ん?」
状況が飲み込めないマールドだが、とりあえずカナエらに促されるままふらふらと歩いていくのだった。
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アスナ(復活)(プロフ) - 作品見ました!すごい面白くて引き込まれちゃいました! 更新頑張って下さい! (12月10日 11時) (レス) @page41 id: bbcff10712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時:2023年6月25日 8時