【クロスオーバー】失われし決意を探して【アンテ×鬼滅の刃】 (ページ44)

今日:41 hit、昨日:2 hit、合計:3,067 hit

“救い” ページ44

｢というか、さ｣

ナイフと扇が切り結び、火花と氷塊を散らす中童磨は話し出す。

｢なーんで邪魔したのかな？俺はただそこの彼女をこの世から｢救って｣あげたかっただけなんだけどなぁ｣
｢救う？｣
｢うんっ、だってこーんなにも、この世界は悲しいのに｣

わざとらしく両腕を広げた童磨に、マールドは一瞬で迫り電光を叩き込む。

｢っと、人が喋ってるんだからさぁ、攻撃はやめてほしいなぁ｣
｢人の心も礼儀も何も知らない蛙がよく言うな｣
｢うーん酷い｣

一転して苦笑するが、しかしすぐに調子を戻して続ける。

｢彼女だって、確か鬼と友達になりたかったんだってね？｣
｢……！｣

マールドのバリアの中で炎に包まれ体を癒していたカナエが目を見開く。

｢本当に残念。鬼と人は決して分かり合えることはないのにねぇ……俺の言葉を君が聞き入れなかったみたいにさ。君の夢は永遠に叶わない……｣
｢なんて言うのはもう二年前の話だよバカタレ｣

涙を流す童磨に被せるように、マールドは反論する。

｢今ここにいるじゃねぇか、僕という存在(人を食わぬ異質な鬼)が｣
｢でもそれはただの偶然でしょ？君もきっと強がってるだけ｣
｢アンタは人間は過小評価しすぎだ｣

童磨の足元から火柱が立ち上り、飛び退いた童磨の扇を焼き払う。

｢おっと｣

即座に大量の氷の槍を生み出し打ち下ろしてくるが、しかしマールドのナイフに全て弾かれる。

｢人が願う限り、人の夢は決して終わらない、人類の歴史に叶わない願いなんてない｣
｢へぇ、言うね？｣
｢そうさ、空を飛びたいだなんて言ったやつがいたが、そいつらは飛行機なるモノを発明して空を飛んで見せた。この広い空の遠い果てまで行ってみたいだなんて思った奴らはロケットを造って宇宙の星へと飛び立とうとしてる。
カナエの奴だって同じだよ。鬼と仲良くなりたい、そう願い続けて戦ってきたからこそこいつは僕と巡り合い夢を叶えた。
人の夢の持つ力、侮れたもんじゃねぇよ｣

……あぁ、何故だろう。
こいつが、心底。

｢……わかんないなぁ｣
｢そりゃアンタは夢と希望とは無縁だろうからな、知らないのも無理はない｣

……本当に、気に入らない。