魔力を持つ少年 ページ39
それからまた少し経ち、森の中を歩いていた時だった。
「……クソッ!」
「……ん?」
マールドの耳が、遠くで鬼の醜悪な笑いと悔しげな叫びを捉えた。
すぐに走りだし、現場に向かう。
木々を伝って走り、たどり着いた先。
この時代ではあまり見ないようなモヒカンヘアーの少年が、今まさに鬼の手に掛かるところであった。
「ッ、間に合えっ……! 血鬼術 決意・気炎万丈!」
右手に力を込めれば爆炎が募る。
それを突き出せば火柱が鬼の足元から立ち上がり、その身体を焼き尽くす。
「ぎぃやぁぁぁぁ!?」
「……!? べ、別の鬼……?」
傷を負っていた少年が、震えながらも刀を構える。
呼吸は過呼吸気味だが、しかし他の隊士のような独特のの呼吸はない。
「……ん?」
しかし、マールドの目に留まったのはそれではなかった。
鬼に対する憎悪、自分への苛立ち……
そんな激情を抱えていながらも、彼にあったのは素質。
「魔法使いとしての素質」が、そこにはあった。
「お前……俺を、どうする気だ……!」
「……どうする、なぁ」
暫く長考する。
彼をどうするべきか。
このまま関わらないべきか?
いやそれでは彼が力を得られず殺されてしまいそうだ。
魔法を教える?
そこまでの才能があるかはわからないし、そもそも拒絶される可能性も高い。
……悩みどころだ。
「どうする、どうするなぁ……」
「……?」
「……なぁアンタ、名前は?」
「え……は?」
突然すぎたかと思うも、少年は呆気にとられながらも名乗った。
「……不死川、玄弥……」
「玄弥か、僕はマールドなんだが……アンタ、強くなりたいか?」
「……は?」
ぽかんと口を開けて、今度こそ固まってしまった玄弥に、思わず頭に手を当てたマールドだった。
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アスナ(復活)(プロフ) - 作品見ました!すごい面白くて引き込まれちゃいました! 更新頑張って下さい! (12月10日 11時) (レス) @page41 id: bbcff10712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時:2023年6月25日 8時