戦闘、音柱 ページ35
音の呼吸 壱の型 轟
「!」
即座に距離を詰め、彼は両手の刀を振り下ろす。
咄嗟にナイフをバリアで延長して火を纏わせ、ロングソードへと変えて受ける。
「はぁっ!」
「ぐっ……!」
刃同士がぶつかった直後、爆音が目の前で弾ける。
勢いでマールドが軽く吹っ飛び後方へと跳ねる。
「爆発……!? 威力が思ったよりでかい……!」
「ド派手に追撃させてもらうぜ!」
逃がす気は更々無いようで、すぐに飛びかかり次の技を放とうとしてくる。
音の呼吸 伍の型 鳴弦奏々
両手の刃を高速回転させて遠心力を生かし首を切り刻まんと迫ってくる。
「っ、速いな……【血鬼術 正義・不撓不屈】」
「独り言の多い鬼だなッ!」
眼前にバリアを生成し、ガリガリと削りに来る彼の刃を防ぐ。
周囲で爆発が巻き起こる中、後方へ走りながら攻撃を捌き続ける。
「……どうしたもんか」
「あ?」
逃げる隙間が見当たらない。
これが柱の実力。
マールドが太刀打ち出来ない相手ではないものの、マールド側からはなるべく手出ししたくない状況なせいで上手く立ち回れない。
「地味に消極的だな? それにお前本当は強いんだろ、何でわざわざ隠すんだよ。それとも俺なんか本気じゃなくても十分ってか?」
「っは、褒め言葉は受け取っとくが……出さないっていうか出せない、出したくないの方が正解、か?」
「へぇ」
いくらか聴力も上がっているのか彼の言葉はよく聞こえるものの、向こうも小さな独り言ですら聞き取れているらしい。
相当耳がいいのか、それとも柱としての実力か、はたまた爆弾使いとしての副産物なのか。
正解はわからないが向こうも正確に聞き取れているらしく、一瞬戸惑ったような顔を見せた。
「僕も出来る限り戦いたくないんだよな……ここにアンタが足止めされてることで守れない人間が増えてるかもしれねえし……」
「……は……?」
猛攻が緩む。
呆気に取られたらしい彼は一瞬動きを止める。
瞬間マールドは足に電撃を纏わせる。
「【血鬼術 正義・雷轟電撃】、んな訳で……じゃあな」
電撃と衝撃波だけを残し、マールドはその場から消え去った。
後には困惑する一人の派手な大男だけが残されていた。
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アスナ(復活)(プロフ) - 作品見ました!すごい面白くて引き込まれちゃいました! 更新頑張って下さい! (12月10日 11時) (レス) @page41 id: bbcff10712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時:2023年6月25日 8時