【クロスオーバー】失われし決意を探して【アンテ×鬼滅の刃】 (ページ26)

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接敵ページ26

様々なことを考え森の中を歩き回るうち、気がつけば時刻は鬼の蔓延る夜となっていた。

｢夜か……睡眠いらずは便利なことだが、まぁ鬼とどこまでやれるかだな｣

鬼となったマールドにとっては、睡眠など取らずとも問題なく動ける。
だがそれほもちろん徘徊している鬼達も同じこと。

暗闇が支配する樹海を駆け抜けていると、ふとその耳に人間の悲鳴が届いた。

｢……て……助けて……！｣
｢！｣

その声を認めた瞬間、マールドは足に力を込めて飛び出した。
稲妻と抉れた土をその場に残し、全速力で鬼がいると思わしき所へと駆ける。

｢……ここか｣

マールドの鋭敏な視界が捉えたのは、醜悪な人形のナニカが女性に襲いかかるところであった。

｢女！逃げるんじゃねえ！大人しく俺様の餌食になりやがれ！｣
｢いや、たすけ……！｣

やはりあれが鬼のようだ。
しかし……想像していたとはいえここまで酷い生き物だとは思わなかった、とマールドは後に語る。

最も射程が長く、かつ最速の血鬼術をマールドは展開する。

｢血鬼術正義・光芒一閃｣

マールドの手から放たれた光線。
文字通りの光速で飛来するそれは、鬼の認知よりも早くその身体を貫いた。

｢ひ、ひぃっ……!?｣
｢よっと……逃げな。夜はあんまり出歩くもんじゃない｣

怯える女性に声をかければ、恐怖心が勝っているのか即座に逃げ出していった。

｢クソ……！邪魔すんじゃねえ！｣
｢邪魔も何も……さっさと自分の行いを見直してほしいんだが｣
｢うるせぇ！｣

冷静に話すマールドとは正反対に、鬼は激昂して飛びかかってくる。
何の策もない、愚直な突撃。
マールドでなくとも反撃は容易であった。

｢は……？｣

刹那、鬼の上半身と下半身が泣き別れとなる。
マールドが振り抜いた槍が、魔力が鬼の再生力を妨害する。

｢……地獄で反省するんだな｣
｢クソオオオオッ!!｣

踵を返したマールドの背後、灰が風に吹かれて散っていた。