当然の疑問 ページ19
「……とまあ、ここまでが僕がいなくなってから一週間の話だな」
いつの間にか荷物に紛れ込んでいた、玉虫色の瞳の少女を膝に乗せながら、マールドはオシストの方を向き……
「……オシスト?」
涙を堪えつつ震える彼女に一瞬驚きを見せた。
「あの……その、一つ突っ込ませてください……」
「あ、おう」
「それで何で生きてるんですか!?」
言い方に語弊があるが、彼女の問いは感覚的に正しい。
マールドの話だけでも、意識の低迷、全身の震え、視界不明瞭、貧血、凍傷、栄養失調、そして全身の大怪我のレベルを越えた負傷。
本当に何でこれで生き残れたのか、到底常識では考えきれない。
「あー……なんだ、ケチャップと気合でなんとか……」
「えぇ……いくらマールドさんでも……」
「パパすごーい!」
「おう」
流石に暴論と言っても過言ではない酷すぎる主張に、思わずずっこけそうになる、がしかしマールドがそんな意味のない嘘をつく人間でないことなどオシストはよく知っている。
「……最近ますます規格外になってません?」
「……割と前からだったと思うぞ」
「……ですね……」
遠い目をする二人だったが、ふとまだ話は終わっていないことを思い出す。
「あ、それから……どうなったんですか?」
「おう、続きだな」
まだまだ夜は長い。
殺伐とする暗闇の中、ここだけは平穏を保ち続けていた。
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アスナ(復活)(プロフ) - 作品見ました!すごい面白くて引き込まれちゃいました! 更新頑張って下さい! (12月10日 11時) (レス) @page41 id: bbcff10712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時:2023年6月25日 8時