百鬼夜行 ページ15
月の呼吸 陸ノ型 常夜孤月・無間
「……!」
目を見開く。
刀の一振とは思えないほど攻撃範囲が広すぎる。
目の前に迫る斬撃の壁に、思わず飛び退いて回避を試み……
「ッ、があっ……!?」
その直後、背後から衝撃が襲った。
「なんっ……!?」
咄嗟に振り返れば、そこには構える一人の男を中心に、六人の男と一人の女がこちらに来ていた。
血鬼術 破壊殺・空式
構えを取る男……上弦の参が拳を虚空に放つと、その度に衝撃波が飛んでくる。
「くっ……」
「人間風情がこんな所に辿り着くとは……腹立たしい、鳴女は何をしている……」
「へえ、君面白いねぇ、黒死牟殿と満身創痍でも互角に立ち回るなんてさ」
「お前、明らかに強いな。至高の領域に片足を踏み入れている……だからこそ惜しい。お前が消えてしまうのが……」
「そんな筈はない……この無限城に人が踏み入って来るなど……儂は見たことがない……」
「ヒョッヒョッ、私の作品に加えてやろうぞ」
「お兄ちゃん! あいつなんかムカつく!」
「そうだなあ、とにかくあいつは殺すべきだなあ」
口々に言葉を放つ彼らの瞳には、一体を除いて全員の目に上弦、そして漢数字の文字が付いていた。
そして、それらを持たぬ男が他の者達に指示を飛ばす。
「黒死牟、童磨、猗窩座……半天狗、玉壺、堕姫、妓夫太郎。奴を殺せ、もしくは生け捕りにしろ」
「「「「「「「はっ」」」」」」」
黒死牟は変わらず刀を振り続け、童磨は後方で冷気と共に氷の蓮の刃を飛ばし、猗窩座は接近し肉弾戦を挑んで来て、半天狗……はただ泣きわめき、玉壺は大量の魚を飛ばし、堕姫は無数の帯を伸ばし、妓夫太郎が鎌から血を飛ばす。
「くぅっ……! 数が……!」
本来のマールドならば、彼ら全員を相手取り攻勢を保つことは出来たのだろうが、現在かなりダメージを抱える彼にはとにかく防御することで精一杯である。
「先程あのお方が言ったように、俺は猗窩座だ。お前、名前は何と言う?」
「流石に答える義務はないだろ……!」
「そうか、連れない奴だな」
「ぐぅっ……」
鋭い拳がマールドの防御ごと彼の身体を吹っ飛ばす。
「っ、パワーが違う……!」
「にしては随分長く生き長らえてると思うんだけど」
それでも最小限のダメージに留めるマールドが化物なのか、はたまたマールドにここまでダメージを与える彼らが化物なのか。
それは誰にもわからない。
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アスナ(復活)(プロフ) - 作品見ました!すごい面白くて引き込まれちゃいました! 更新頑張って下さい! (12月10日 11時) (レス) @page41 id: bbcff10712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時:2023年6月25日 8時