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「へんなひとのこに、あったんですよ」
ある初夏のこと。その日は奏汰の学校がなく、体調がそこそこ良かったAは何とはなしに奏汰の部屋を訪れていた。
「変、とは」
「そうですねぇ……まず、とっても『こわがり』なんです。『おばけ』とかいうのがこわいんだっていってました。でも、ぼくのことはこわがらないんです。いえ、あれはこわかったけど、『こわいの』をおしころしてたんでしょうか……？なんだかよくわかりません」
「はぁ」
「『なまえ』は、もりさわちあきっていってましたね。ちあきってよべばいいんですよね。にんげんにはみんな、『なまえ』があるんですものね」
「そうですね」
実はこの生神さま、人間を全部ヒトとしか見ていない節がある。正確には、彼の両親やAの兄といった例外があるが、それ以外は全て薄っぺらい群れのようにしか思っていないらしい。
「そういえば、あなたの『なまえ』はなんですか？」
「あれ、名乗ってませんでしたっけ」
「きいてませんね。ぼくは、あなたについては『にんぎょう』であり『はなしあいて』であるとだけきいています」
「何という名誉棄損」
人間扱いすらされていないとは心外である。これでも三毛縞家の娘だというのに。
「『めいよきそん』ってなんですか？」
「私にもよく分かりません。それはさておいて、三毛縞Aといいます」
「みけじま……あれ、いま『みけじま』っていいました？」
「言いましたけど……？」
「もしかしてみけじまは、『うみうし』さんだったんですか？」
「…………………………んえ？」
この後、「みけじま」こと三毛縞斑とAが兄妹の関係にあることを説明するのに思いのほか時間がかかった。
ちなみに、ウミウシは雌雄同体の軟体動物である。どうやら、Aの名を聞いて兄が少女化したと思ったらしい。どこのマンガの世界の話なのだろう。
「なるほど、わかりました。つまりぼくは『ひとりっこ』なんですね」
「そういうことですね」
そうして、だいぶ話が逸れてから、元の話に戻った。即ち、「ちあき」なる人物の話である。
「『ヒーロー』になりたいんですって。なりたいなら『かなえて』あげるべきですよね。ぼくはかれに『おん』があるので……？」
「はぁ……ん？ヒーロー？ヒーローって言いました？」
ぼんやりと聞いていたAは、ふと耳にとまった単語を繰り返した。
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Chris(プロフ) - 冬枯さん» コメントありがとうございます。嬉しさで机殴りながら返信打ってます(だって初コメ……初コメ……！！)。遅々として進まない筆で申し訳ありませんが、少しずつでも更新してまいりますので今後もお楽しみいただければ幸いです。 (2020年8月21日 20時) (
レス) id: 313ba381d4 (このIDを非表示/違反報告)
冬枯(プロフ) - 楽しく読ませて頂いております！自分も友達から勧められ、新シリーズから始めた者です。流星の篝火は無理です。本当に無理。良い話すぎて泣きます。良さの反動と言えど、文を紡いでいくのはすごいと思います！これからも更新楽しみに待ってます！ (2020年8月21日 19時) (レス) id: ec10afebdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chris | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/
作成日時：2020年6月13日 0時
