☆ ページ49
「へぇ〜。おばあちゃんっぽい」
「な。この周りのもやもやは観客?」
「そうよ〜」
「あぁ、モブか」
観客。スポットライトの当たる主人公じゃなくて、それを見る側。モブもまぁ同じもの
「いやお前、観客とモブは違うだろ」
兄に即行否定をされた。
私を見れば察しはつくだろうが、我が家は漫画や二次元に強い。モブ、という単語の指摘をうけるくらいには。
「観客は舞台の外だろ。モブは舞台の隅」
「えぇ?観客もモブの一瞬だよ。モブってパターン多いし。セリフあるタイプから姿すら書かれないものまで」
「あぁ……まぁ、確かに」
あっさりと食い下がる兄。これが姉だったらしつこく言われていただろう。あ、なんでもないでーす。見ないで見ないで。察知しないで。
「なぁに?お話のこと? 観客が居ないと、お話なんて成り立たないわよね?」
「それはそう。モブだって懸命に生きてんのよ。何も仕事出来る人間とか上司とかが偉いわけじゃない」
「えぇ……なんで唐突に社会への戦闘意欲……?」
「酒持ってきな!」
姉に顎で使われている。姉妹で仲良い子とか偶に聞くけど、あんなの絶対嘘だ。お姉ちゃんなんて横暴な人間しか知らない。
冷蔵庫からキンキンの飲み物を取って、お姉様に献上する。社会人怖い……。
モブ。
まぁ、彼らが居ることで漫画が面白いのは大きい。自分も描くようになってから、コマの端に居る彼らの偉大さが分かった。
ただ、敬意はあれど……
「モブ視点は誰も読まんな」
「っあ〜!美味しい!」
「ばあちゃん今日飯ウチで食べんの?」
「昨日言ったじゃない。ほら、作るわよ」
うんうん。
モブは端に居るくらいで良いのだ。脚光を浴びるのも、クランクアップで花束を渡されるのも、やはりそれは主人公で無くては。
例えば、そう。
今まで出会った、やたら尊いあのカップル達とか。
あの人達に幸あれ。
あの人達に花束を。
そんでブーケトスした先に、
それが、クランクアップの花束!
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ツキノワ。(プロフ) - るしゐさん» 返信が遅くなり申し訳ありません! 一般人視点、書くのは楽しかったのですが読んで下さる方がいるのかなぁと思っていたので嬉しいです。ありがとうございます! (4月9日 18時) (レス) @page49 id: e6cc4ca720 (このIDを非表示/違反報告)
るしゐ - こんにちは〜!時差コメですみません…。ツキノワ。様の小説大好きです!!一般人視点、新しくて好きです〜!素敵な小説ありがとうございました! (2月11日 9時) (レス) id: 3376040ee3 (このIDを非表示/違反報告)
ツキノワ。(プロフ) - アイレさん» こんなに古い作品にコメントありがとうございます!読んでくださるだけでも嬉しいのに、コメントまでくださるなんて嬉しすぎます〜! (12月29日 23時) (レス) id: e6cc4ca720 (このIDを非表示/違反報告)
アイレ - え……まさかのパラドがいる!!え…めっちゃ新しい視点で物語読むの想像してた以上に楽しい……素敵な作品ありがとうございます!(*‘ω‘ *) (12月29日 19時) (レス) @page47 id: 2f4437d82e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツキノワ。 | 作成日時:2019年11月12日 21時