狂愛、続々 滅.迅 ページ37
なぜか上司に、「飲みに行かないか」と言われた。
昨今そういうのが嫌な人も多いし、確かに俺もおお人数のは苦手だ。だけどこの上司と2人飲みならいいか、と軽く返事をしたんだっけ。
「A……?」
「あぁ、それとコイツも」
言われた名前は、Aさんという方と同じ部署の男性社員らしい。
「いや、知り合いでは無いですね。それが何か?」
「あー……この男の方がな、お前と同期だったから。なんかショックでも受けてるんじゃないか、って気になっただけだ」
俺の早とちりだったな、と上司は薄く笑う。
同期なんだ。なにせ大企業だから人数も多くて、別の階層になると本当に知らないから、今初めて知った。
「ショック、って何かあったんですか?」
「この女の子の方がな。……失踪事件、あっただろ」
「あぁ。ありましたね。まだ見つかって無いんでしたっけ?」
そういえば、そんな事件があった。
ウチの社員がある日ぱったりと連絡が付かなくなって、失踪事件となって。一時期は滅亡迅雷.netに拉致された、なんてことも騒がれたけど。
人質にされて何かを要求してくることも無く。
というか、その事件について言及することは無く。
その人だったんだ。噂にはなってたけど、名前までは知らなかった。
「見つかってねぇらしいな。警察の方でも人員割いての捜索はもうとっくのとうに終わってるし、まぁ……滅亡迅雷.netに拉致されて、生きてるってのも……な」
「……そうですね」
考えにくい。生存は絶望的、ってところか。
俺は知らないけど、滅亡迅雷.netが浮上するってことはそらなりの証拠はあるんだろう。だけどここまで見つからないとなると……。
「その男性社員の人は?」
「……或人社長に襲いかかって、クビだってよ」
上司はぐいっとまた酒を煽った。
俺も、なんとか酒を流し入れる。
「元々仲が良くてな、最後に会話した人間らしい。噂じゃ、恋愛的な意味でも好きだったんじゃないか、って。初期の方には社長に頭下げて『助けてあげてくれ』なんて言うくらいには」
「……良い人じゃないですか」
「……結局人襲ったんだから、ダメだろ」
その人はどうやら。或人社長にナイフを突き立てようとしたけれど、結局ウチの警備員ヒューマギアに止められて、或人社長は無傷で。
社長は許そうとしたけど、その人自身の意向もあって、退職したらしい。
大変だなぁ。なんて。
同じ会社なのに、現実味は無いのが本音だ。
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ツキノワ。(プロフ) - るしゐさん» 返信が遅くなり申し訳ありません! 一般人視点、書くのは楽しかったのですが読んで下さる方がいるのかなぁと思っていたので嬉しいです。ありがとうございます! (4月9日 18時) (レス) @page49 id: e6cc4ca720 (このIDを非表示/違反報告)
るしゐ - こんにちは〜!時差コメですみません…。ツキノワ。様の小説大好きです!!一般人視点、新しくて好きです〜!素敵な小説ありがとうございました! (2月11日 9時) (レス) id: 3376040ee3 (このIDを非表示/違反報告)
ツキノワ。(プロフ) - アイレさん» こんなに古い作品にコメントありがとうございます!読んでくださるだけでも嬉しいのに、コメントまでくださるなんて嬉しすぎます〜! (12月29日 23時) (レス) id: e6cc4ca720 (このIDを非表示/違反報告)
アイレ - え……まさかのパラドがいる!!え…めっちゃ新しい視点で物語読むの想像してた以上に楽しい……素敵な作品ありがとうございます!(*‘ω‘ *) (12月29日 19時) (レス) @page47 id: 2f4437d82e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツキノワ。 | 作成日時:2019年11月12日 21時