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ストーカー 花家大我 ページ17

きっと彼女は僕が好きなんだと思う。
だって、だってだってだって。彼女は僕に、他の誰でもない僕に、あの日駆け寄ってきて、顔を覗いて聞いたんだ。大丈夫ですか、って。

気分が悪かった日だ。道端に座り込んでしまって、なのにどいつもこいつも、僕をジロリと見た。気味が悪いとでも言うように。いつもそうだ。この世界は糞だらけ。気味が悪いのはこの世界だ。

そんな中で、彼女だけが違う。彼女だけが汚い世界で唯一清らかで、唯一美しく、唯一正しい。

それは彼女を見れば見るほど分かった。確信にみるみる変わる日々は、体が芯から震えるほどいい。

夜の街で揺れる、真っ黒の艶やかな髪。
白い肌と、細い足首、形のいい手、爪。
柔らかそうな、それでも決して太い訳でもやせ細った訳でも無い、脚のライン。
僕を見る時に揺れる瞳、綺麗に上げられた睫毛。
ぷっくりとして果実のような唇。

朝は、彼女の家を少し眺めるだけ。
だって、朝は最も神聖な時だ。誰だって女神の朝は邪魔したくないだろう。

昼に、彼女のことを考えながらこの世界で生きる。
どうしようもなく穢れたこの世界だけど、大丈夫。なんてったって、彼女も何処かに居るから。

夜。駅の改札前に6時52分に立つ。流れる人に合わせて、僕を探すような彼女が来る。後ろにそっと控える。あぁ、ここからがこの世界のある意味だ。


今日は、少し奥まで行こうと思った。
コンビニの前で戻らず、一緒にコンビニへ入る。あぁ、驚いてるね。大丈夫だよ。いつも居るから。

いつもここに来るね。誰かと待ち合わせでも無いのに。いつも大したものも買わないのに。やっぱり休憩なのかな。この世界は疲れるからね。

あ、お菓子買うんだ。可愛い。僕も買おう。
何を必死に見てるんだろう。お菓子コーナーだ。小さい子みたいで本当に可愛いね。

「やば!期間限定あるよ!」

「っ!分かったから引っ張るな!」

ドスンと何かが当たる。見れば、背の高い男だった。気持ち悪い。なんで邪魔をするんだ。

思わず舌打ちをして、場所を帰る。彼女の真正面だ。見えないけど、この棚の向こうに居るなんて……ど、どうしよう、そんな、そんな素晴らしいことが……。

レジに彼女が向かった。ここで僕も行くと見れなくなるから、僕はここで見ることにする。どうせ買うものなんてありはしない。

目が合った!
逸らされる瞳が、すごく綺麗だ。
あ、お金を取り出してる。
指がバラバラに動く。いい。すごく。
首筋に伝うのは汗か。宝石のようだ。

☆→←☆



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ツキノワ。(プロフ) - るしゐさん» 返信が遅くなり申し訳ありません! 一般人視点、書くのは楽しかったのですが読んで下さる方がいるのかなぁと思っていたので嬉しいです。ありがとうございます! (4月9日 18時) (レス) @page49 id: e6cc4ca720 (このIDを非表示/違反報告)
るしゐ - こんにちは〜!時差コメですみません…。ツキノワ。様の小説大好きです!!一般人視点、新しくて好きです〜!素敵な小説ありがとうございました! (2月11日 9時) (レス) id: 3376040ee3 (このIDを非表示/違反報告)
ツキノワ。(プロフ) - アイレさん» こんなに古い作品にコメントありがとうございます!読んでくださるだけでも嬉しいのに、コメントまでくださるなんて嬉しすぎます〜! (12月29日 23時) (レス) id: e6cc4ca720 (このIDを非表示/違反報告)
アイレ - え……まさかのパラドがいる!!え…めっちゃ新しい視点で物語読むの想像してた以上に楽しい……素敵な作品ありがとうございます!(*‘ω‘ *) (12月29日 19時) (レス) @page47 id: 2f4437d82e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ツキノワ。 | 作成日時:2019年11月12日 21時

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