貴方と共に。一般人視点。【特撮短編集】

悪酔い 飛電或人.不破諫 ページ15

社長と言うのは社員の仕事に干渉してこない方が良い。なんなら、少し仕事が出来ないくらいで丁度良い。というのはいつの日かネットで見た話だが、その通りだと思う。

少なくとも我社の新しい社長は、少しどころか全く仕事が出来ない。最初こそそれで不信感もあったはものの、蓋を開ければ特に業務内容に変更は無く。むしろ「俺分かんないからさ〜」と社員を褒めてくださる分、働きやすい気さえしている。

それでもやはり、最近の滅亡迅雷.netによるヒューマギアハッキング事件は業務量を増やしているが。

「社長、まだお仕事ですか？」

「そうそう。覚えること多くてさ〜」

どうやら気分転換に社長室から出てきたらしい、飛電或人新社長。ぐいっと伸びをする様子からは、彼なりに日々頑張ってくれているのがよく伝わる。賛否両論あれど、僕は或人社長を好ましく思っているんだ。
上から目線みたくなってしまったけど。

「でも、それにしては楽しそうですね」

「え！分かる！？ 今日さ、Aと飲みに行くんだよね〜」

「A……あぁ！カメラシステムの！」

思い当たった人物は、いつも明るい同じ階層で働く女性。そうか。そういえば2人は幼馴染だったっけ。幼馴染が突然社長になるということで、かなり多方面から心配されていた気がするけど……言わなくていいか。無粋だ。

「仕事終わりに飲み屋でってのは初めてでさ〜。そもそも、Aと飲むこと自体そんなに無いから」

「そうなんですか？ 幼馴染だからてっきりよく飲むのかと……」

「ぜーんぜん。あってもお酒メインにはならないから……酔うのかな……？」

本当に一緒に飲むことは少ないらしく、或人社長は首を傾げる。お酒が要らない仲。良いと思いますよ。

「Aって酔う？」

「さぁ……。飲み会に居たこともありますけど、その時は目立つほど変な酔い方はしてなかったと思いますよ」

あんまり覚えてませんけど、と付け足す。そうすると或人社長も笑って、ありがとうと一言。

「楽しみだなぁ〜」

さぁ、僕ももうひと頑張りだ。

☆→←ポッキーゲーム 左翔太郎

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す