言わせたい 梅盛源太 ページ13
「Aちゃん、洗脳とかされやすいタイプよね〜」
「うっ……」
お筝のお稽古終わり。昔からよく知るAちゃんの、最近気になる彼の事を聞けば、なんとも大きな進展があった。よく集中出来たわね。
梅盛源太さん。志葉の丈瑠様のお知り合いらしく、最近シンケンジャーの一員になられた方のお名前だ。
その彼こそが、この話の軸になるのだけれど。
どうにも彼、Aちゃんに一目惚れしたらしいのよね。それも一時的なものじゃなくて、数回会った私でさえも分かるくらいのゾッコン。
そんな彼のアプローチ方法というのが、『好き』という2文字を言わせるもので。……子供っぽいと思うでしょう？ 私も思ったのよ。なのにね、Aちゃんには効果てきめん。
言わせようとすればするほど、どんどんAちゃんも意識しちゃうんだから、これがまぁ面白くて。
「それで？ もうすぐ告白になるでしょう？あの子も腰抜けでは無いだろうから」
「こっ！？ そ、そんなに早くにですか！？」
「遅いくらいでしょう。それに、もうこれ以上することある？ Aちゃんから言ったんでしょう？」
「わ、分かりませんけど……でもほら、向こうが自分の気持ち隠して、私に言わせるのは、なんか正々堂々としてないじゃないですか……なんかこう、こういう回りくどいの、苦手だし……」
Aちゃん、本当に真面目なのよね。
昔から男の子より強くて、なのに卑怯なのは大っ嫌い。自分に誇りを持っていて、強くて優しくて。
とりあえずやってみる。それがダメなら考える。考えてダメなら、自分の剣でこじ開ける。
それが、彼女の考え方。素敵だと思うわ。
「告白されたら、返事はどうするの？」
「わ、私もと、そのまま言うつもりです……」
「どこが好きなの？」
「……梅盛源太がその場に居ると、雰囲気がぱっと明るくなるんです。それは、殿の為に育てられた私達には無い雰囲気だから……でも、彼は逃げても良い立場なのに助けてくれて、その立場をよく自覚した上で、人を守ろうとしてくれます」
まさにベタ惚れ。本当にこの子、いつか洗脳とか受けたら大丈夫かしら。催眠術もかかりやすそう。
Aちゃんは恥ずかしそうに顔を赤らめて、視線を下に向けて。きっとその目に映るのは、彼ね。
「誠の善人というのは、きっと、あの人でしょうね」
あぁ、本当に。あの小さかったAちゃんが。
どうやら、とても素敵な恋をしているらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ツキノワ。(プロフ) - るしゐさん» 返信が遅くなり申し訳ありません！ 一般人視点、書くのは楽しかったのですが読んで下さる方がいるのかなぁと思っていたので嬉しいです。ありがとうございます！ (4月9日 18時) (
レス) @page49 id: e6cc4ca720 (このIDを非表示/違反報告)
るしゐ - こんにちは〜！時差コメですみません…。ツキノワ。様の小説大好きです！！一般人視点、新しくて好きです〜！素敵な小説ありがとうございました！ (2月11日 9時) (レス) id: 3376040ee3 (このIDを非表示/違反報告)
ツキノワ。(プロフ) - アイレさん» こんなに古い作品にコメントありがとうございます！読んでくださるだけでも嬉しいのに、コメントまでくださるなんて嬉しすぎます〜！ (12月29日 23時) (レス) id: e6cc4ca720 (このIDを非表示/違反報告)
アイレ - え……まさかのパラドがいる!!え…めっちゃ新しい視点で物語読むの想像してた以上に楽しい……素敵な作品ありがとうございます!(*‘ω‘ *) (12月29日 19時) (レス) @page47 id: 2f4437d82e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ツキノワ。 | 作成日時：2019年11月12日 21時
