☆ ページ12
「いやぁ〜良い映画でしたね！ アクション映画普段はあんまり見ないんですけど、面白かったです」
「今回の映画、過去作の台詞とか出てきててほんとよかった。Aちゃん多分見てないだろうし、今度過去作も見返そ」
「いいですね！」
流石自分の彼女。映画というのは、ずっと見たかったけど忙しくて見れてなかった大好きなアクションシリーズ物の最新作だった。本当にもう期間中には見れないと諦めていた分、見れた喜びは大きい。あの役者やっぱすげぇわ。
「アクションも最高だったー。特にあの壁走るシーンとか超よかった」
「ふふっ、そうですね」
「過去作やっぱり見返したいなー」
入ってるサブスクにあれば良いけど、もういっそDVD揃えちゃうのもいいよなぁ。今回のはマジで買ってもいいかもしれない。これはいい。
そう思っていれば、やたら笑顔なAちゃんと目が合った。
「なんでそんなに笑顔なの」
「だって貴利矢さん、すごい楽しそうだから」
そんなに楽しそうだったのか、と思うと恥ずかしくなってくる。いつでも年上彼氏の余裕を見せたいのに。でもAちゃん的にはそっちの方が面白いらしく、にこにこしたまま手を繋いできた。
「売店覗いて見ましょ」
「いいね」
繋いだ手を引いて、Aちゃんは早足で売店へ行く。
売店には今やってる映画のグッズか所狭しと置かれていて、丁度今観てきたあの映画のグッズもあった。人形にファイルにキーホルダー。あんまりグッズとかは買う派じゃないけど、これは確かに惹かれるなぁ。でも見てるだけでも楽しいかも。あ、このアニメの予告さっき見たな。
「ぬいぐるみもありますよ！ えかわいい〜！」
Aちゃんは楽しそうにもふもふと人形を触っていて、その様子が可愛くて自然と口角が上がっていた。いや仕方ない。だってAちゃん超可愛いから。
「買ってあげようか？」
「いやいや、私が自分のお金で払いますよ」
「いいよいいよ」
「ダメです。私だって働いてますから」
これ以上は譲ってくれないなと悟り、自分は「わかったよ」と白旗を上げた。Aちゃんは意外と頑固だから。そこも可愛いところではあるんだけどさ。
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作者名：ツキノワ。 | 作成日時：2023年12月18日 22時
