恋を彩る音楽達【特撮短編集】

登太牙×ヴァンパイア (ﾘｸ) ページ10

ヴァンパイア/DECO*27

「もっ、もう無理……」

「まだいけるだろう。悪い子だね」

細く白いAの体に突き立てられる２本の牙。空中から現れたそれは僕に抱きしめられているAからライフエナジーを吸っていて、それが僕にも伝わり、まるで極上のワインのように美味しく感じる。
体に力が漲(みなぎ)る僕とは正反対に、腕の中のAは立っているのも辛いのか、無防備に僕に体を預けているようにさえ感じる。でも、今日はお仕置なのだからこのくらいでは止めないよ。愛しいA。

きっかけは、Aが僕に黙って男と会っていた事だった。本人は「言うのを忘れてた」と言っていたし、その言葉通りだと思う。男と2人きりという訳でも無く、女性含む昔の同級生何人かでお茶をしてきただけ。浮気では無い事くらい、僕は分かる。

「でも、不安だったんだ。もしその男と居ればどうしようかと」

「それはたらればでしょ……っ……」

嫉妬なんて五月蝿いだけだとも思う。本当は、不安になったと言うことも内緒にしておきたかった。余裕のある、かっこいい恋人として。

「そのくらい愛してるんだ。君にもしもがあったらと思うと耐えられない。本当は男がいるだけで嫌なんだ。……こんな僕は嫌いかな？」

洗いざらい喋って、だがAは顔を青白くさせながらも僕をその真っ黒な双眸で捉える。そして、そのまま肩を上下させながら僕の背中に回した手に力がこもって。

「好き、っ、大好き」

愛してる、とそのリップを塗った真っ赤な唇が動く。それと同時に僕に入り込む彼女のライフエナジーのなんと甘美な事か。A以外では絶対にダメだ。あぁ、全てを喰らい尽くしてしまったらどんな気持ちだろう。

「もっと吸っても？」

腕の力を強くして、彼女を強く抱き締める。白いブラウス越しに分かる彼女の体温も、心音も、何もかも。溺れる程に愛している。
こんなにもファンガイアで良かったと思った事はあるだろうか。愛しい人の生きる力を、血液よりも心臓よりも重要なものを、味わえる。取り込める。自分の血肉に出来る。

「無理っ、も、ほんと無理、」

「僕がファンガイアだった事を恨んで」

大丈夫。まだ出来る。決して死なせはしないよ。
僕はファンガイアなのだから。

小野寺ユウスケ×性格悪くてすみません。 (ﾘｸ)→←ジェラミー×R&R darling (ﾘｸ)

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