恋を彩る音楽達【特撮短編集】

ジェラミー×R&R darling (ﾘｸ) ページ9

R&R darling/MUCC

「おや、勉強かい？」

「あ、ジェラミー様」

シュゴッダム国立図書館で勉強していたら、やって来たのはジェラミー様。ギラと元同じ施設育ちと言うのもあって、ギラ経由で知り合いになったお方だ。

「はい。勉強なんですけど……」

そこで言葉が止まった。なんて言えばいいのか、悩みすぎてそれすらも分からなかった。
余程暗い顔をしていたんだろう。ジェラミー様は私の目の前の椅子を引くと、そこに優雅に座る。

「……夢があるんです」

「うん」

「医者になりたいんです」

いいじゃないか、とジェラミー様は笑う。
でも、話はここからで。

「だけど私、来年から文系理系でクラス分けられることになってて、そのどっちを選ぶかの届出に文系って書いちゃったんです。友達もみんな文系だし、理系ってほぼ男子だから……」

でもやっぱり、お医者さんになりたいなぁ、って。
私がそう言えばジェラミー様はうんうんと頷いたあと、にっこりと顔を綻ばせる。

「後悔はな、歌にすればいい」

「歌？」

「そうだ。そしてその後悔をキチンと消費してやった後は、夢に向かって進むのみだ。諦めないで努力すれば、怖い事は無い。どこまでも飛んでいける」

どこまでも飛んでいける。本当だろうか。
分かってる。分かってるよ。施設の人間が医者になるのなんて相当の努力が必要なことも。でも、もし私もなれるのなら。

「飛べるかな？」

「飛べるとも」

もちろん、とジェラミー様は続ける。

「もちろんどうにかなりそうな夜もあるだろう。辛い夜も、泣きたい夜も。でもその後に君が笑えていればそれに勝るものは無い」

ジェラミー様はそう、私の目を見ながら言ってくれた。ジェラミー様の声でそう言われると、まるで下からエネルギーが湧き上がるようで。なんだか、本当になんでも出来そうな気がしてくる。
そしてジェラミー様は机に手をついて、ずいっと私に近付いた。

「何度でも間違えばいい！ 一度は途切れた夢も、かき集めて繋ぎ合わせれば輝きを放つんだ。大事なのは……」

顔が近くなる。そして、そっと、囁かれるように。

「お前さんの笑顔だ」

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