恋を彩る音楽達【特撮短編集】

北岡秀一×Overdose (ﾘｸ) ページ29

事をする前後です。若干最中もあります。
ーーーーー
Overdose/なとり

本当は分かってた。
北岡先生には想い人が居て、例え私との関係性が遊びでも、それは恋路の邪魔になる、障害になる、と分かっていたのに。あの人には綺麗な愛を渡して、私が貰うのはそれを生産する過程で出来た、『死にたくない』『生きたい』『もっと肌を感じたい』『温もりを感じたい』というどろどろとした感情だけ。でもそれも両手から溢れるほどに貰ったら、落ちる全部が愛に見えた。

「先生、分かってる？」

「……なにをかな」

「これはいけない事。本当は、好きな人がいる人はこんなことしちゃダメなんだよ？」

言い訳をしないのは北岡先生の良いところだ。言い訳をする暇を与えずに、私の服を脱がせていく。

弾いて、描いて、喘ぐ。
どこが気持ちいいのか、どこが弱点なのか。答えは知ってるから、正解を埋め合わせる。唾液を飲んで、息を吐いて、全部忘れてしまえばいいのに。
きっと私があの気持ちを受ければ受けるだけ、私にも嫌な感情が溜まっていく。いっそ全部が、ふっと終わってしまえばいいのに。最初は甘いのに、時間が経てば経つほど苦しくなるなんて、腐った果実と一緒なのに。

隣に北岡先生が居る。私達は何も纏わない肌同士をピッタリくっつけたまま、ただぼんやりしていた。
北岡先生の事を知らないままの、解像度の悪い夢をみたい。そしたら私はそこではちゃんと笑えて、ちゃんと幸せで。分かりたいのに、変に間の悪い嘘の笑顔が嫌いだ。

「オーバードーズだね」

「あぁ、薬の多量摂取のこと？」

「うん。本当は良いもののはずなのに、それを飲みすぎると具合が悪くなるの。……先生からの愛と一緒」

愛、とわざわざ口に出したのは、そう思いたいからか、先生を試しているのか。先生は一瞬止まったものの、そうだね、と笑った。そして私を引き寄せて、組み敷いて。

やるせない日々だ。

乾巧×君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!! (ﾘｸ)→←宝生永夢×GAM3 BO1 (ﾘｸ)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す