恋を彩る音楽達【特撮短編集】

宝生永夢×GAM3 BO1 (ﾘｸ) ページ28

小説のネタバレあります！！
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GAM3 BO1/SEVENTEEN

家の玄関を開けた途端に体をドアから滑り込ませ後ろ手で鍵を閉める。その後に手洗いうがいをしてから、ベッドの上に荷物を置いて流れるようにパソコンの前へ。そして慣れた手つきでオンラインゲームにログインする。
これが僕の帰ってきてからの動線だ。

24時。僕の我ながらかっこいいキャラクターが、世界を見据える。

父さんには当然買って貰えなかったゲームは、最初にくれたのが恭太郎先生で、その後は親戚の人が要らないからと贈ってくれたんだっけ。このパソコンは、バイトをして大学生の頃に買ったものだ。

ヘッドフォンをつけてマイクをオンにすれば、聞こえてきた声。

『Mさんお疲れ様〜。今どこ？』

『Aさんお疲れ様です。今ログインしたばっかで、とりあえず今日の依頼無いか見てきます』

Aさん、とはゲーム上で知り合った人。そこそこには長い付き合いだから、嘘じゃなければ名前も年齢も知ってる間柄だ。時代が変わる中で、このゲームも僕達も変わった。だけど、Aさんと会うのだけは変わらなかった。

会ったことは無いけど、素敵な人だと思う。

着古した服を着て、クリック一つで気になる人の隣にまで行ける。それがゲームのいい所だ。

『そういえば昔よく一緒に遊んだ海ぶどうさんわかる？』

『はい。覚えてますよ』

『あの人このゲーム引退するって。てかむしろ、ゲーム引退？』

え、と思わず驚いてしまった。
子どもが産まれたらしい。結婚してたのは噂で聞いたけど、子どもかぁ。

『仕方ないけど寂しいよね』

そうですね、と言いかけて、Aさんにもそう言った予定はあるのだろうかと考えてしまう。子どもとまでは行かなくとも、彼氏が出来て結婚を考えてる、とか。

『……Mさんも、リアル優先で良いからね』

しかしそれはAさんも同じだったみたいで、少し寂しそうに、でも明るく振舞ってAさんは言った。その言葉に、少し考えてしまったけど、しっかりと画面を見て。

「心配しないでください。僕はゲームは辞めないだろうし、必ず会えますから」

そこまで言い切ってから、「あ、会えるって言うのはリアルじゃなくて」としどろもどろの説明。かっこ悪いなぁと思ったのもつかの間、聞こえてきたのは笑い声。

「ふふっ、んふっ、今日も期待してるよ、天才ゲーマーM！」

そうだな。ノーコンテニューで、クリアしてやるぜ！

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