恋を彩る音楽達【特撮短編集】

乾巧×さよならプリンセス (ﾘｸ) ページ27

さよならプリンセス/Kai

なんで巧君は私と付き合ってくれたんだろう、なんてことを永遠と考えてる。付き合えて宙にも浮かぶ気持ちなのに、どう考えても釣り合わない事に沈んでしまう。

自分の何がこんなにダメなのかも分からない、なのに変われないし、夢もないし、口も上手くないし、つまらないし、可愛くないし。それも仕方ないかな、なんて思うのが1番の悪いところなのかもしれない。諦めてる、というところが。

「期待通りじゃなくてごめんね」

ぽつりと呟いてしまった言葉に、巧君は「は？」と分からなそうな顔をした。

「期待ってなんだよ」

「かわいく家で待ってたり、料理上手かったりしてた方が良かったかなって」

「それは期待通りじゃなくて都合が良いの間違いだろ。俺はそんなの求めちゃいねぇよ」

でも、でも。私の心では、巧君と距離が近い皆を妬んでる。妬みが体の中を渦巻いて、でも行動に起こすなんて出来なくて、結局空回っちゃうの。ずっと。
それに巧君はかっこいいし、変わらないし、足長いし、時々面白いし、可愛いし。さり気ない優しさもある。
だから私がそのキラキラ輝く巧君を精神安定剤にしてしまうのは、仕方ないよね。メロメロになってるんだから。

「釣り合ってないもん、私達。せめて期待通りにしないと、私、巧君のそばに居られない」

巧君ははぁ、と呆れたようにため息を吐くと、私の前に来て、私のおでこをビシッとデコピンした。

「浮かれてるAは、あー、可愛いと思ってる」

耳を疑った。もちろん沈んでるお前も、と付け加えられて、更に耳を疑った。そんなの絶対可愛くないのに。

「信じてねぇだろ」

「だ、だって」

「お前は可愛いよ」

その一言だけで、なんだか全て安心して、変わらなくても良いんだと思えて、なのに先ずは私の思考から変えなきゃとも思った。このネガティブ思考のままじゃ、ハッピーエンドも見逃しちゃう。

さようなら、今までの私。
今までのネガティブプリンセスも、ダメじゃないみたいだけど。もっと釣り合う私になるために、ネガティブプリンセスとはさようならだ。

さよならプリンセス。
私とさよならだ。

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